灘チャレンジ、30年の節目超え 都賀川公園で震災の記憶つなぐ

 9月14日、「灘チャレンジ2025」が都賀(とが)川公園で開催された。阪神・淡路大震災の復興祭として始まった祭りで、今年で31回目の開催。模擬店やクイズ大会などの企画があった一方で、自然災害を伝える展示や被災地の平和を考える活動の紹介なども行われた。<川﨑成真>

(写真:幅広い年代の来場者が訪れた灘チャレンジの会場 2025年9月14日15時49分撮影 都賀川公園で 撮影:川﨑成真 画像の一部を加工しています)

 「灘チャレンジ2025」が、9月14日の11時から16時に都賀川公園で開催された。灘チャレンジは、神戸大のボランティアサークル「灘チャレンジ実行委員会」が、地域の人たちと協力して運営している。震災のあった1995年に始まって、今年は31回目の開催だ。曇り空に、ときおり太陽が顔を出す天候のもと行われた。

▽焼きそばや雑貨販売のテントにぎわう
 昨年より3店舗多い20のテントが並び、焼きそば、フランクフルトなどの食べ物のほか衣類、雑貨なども販売された。
 地域密着型サークル「にしき恋」や六甲祭実行委員会といった神戸大の課外活動団体も出店し、黒豆きなこドーナツやかき氷を販売した。

(写真:飲食や雑貨販売のテントが並んだ 2025年9月14日13時35分撮影 画像の一部を加工しています)

 1回目の灘チャレンジから出店を続けているという多機能事業所「たんぽぽ」は、神戸市北区八多町の農園で栽培した野菜やきのこ、シフォンケーキを販売した。きのこ類やシフォンケーキは2時間ほどで完売したという。模擬店のスタッフは「毎年待ってくれているお客さんもいるので(盛況だった)」と話した。
 ビールや雑貨を販売した「ヤングスターズ」の山田たけしさんは、1986年に神戸大学文学部に入学した。大学を離れてから後輩の誘いで灘チャレンジに関わるようになり、毎年欠かさず足を運んでいるという。「昔(の灘チャレンジ)に比べたら店の数も人の数も少なくなった」と感じているが、「学生の活動を応援したいという気持ちで毎年来ている」と話した。

▽震災や水難事故を考える展示企画も
 都賀川公園内では、阪神・淡路大震災直後の写真が展示された。また、能登半島地震後に学生震災救援隊が行ったボランティア活動を紹介するブースが設けられた。
 公園の隣にある灘区民ホールでは、「被災地に学ぶ会」や「7月28日を『子どもの命を守る日』に実行委員会」の協力のもと、都賀川水難事故に関する展示も行われた。
 都賀川水難事故は2008年7月に灘区の都賀川で発生した事故。ゲリラ豪雨で、急に水位が上昇し、水遊びなどで都賀川や河川敷にいた16人が流され、学童保育で来ていた小学生2人を含む5人が亡くなった。
 事故当時の都賀川の写真などが展示されたほか、今月4日に都賀川の水位が上昇して女性が取り残されたという新聞記事を取り上げ、「先日も事故が起きかけています!!」と過去の出来事ではないと訴えかけた。

(写真:都賀川水難事故に関する展示 2025年9月14日12時2分撮影)

 同ホールでは、「ポーポキ・ピース・プロジェクト」という団体が行っている活動「ポーポキ友情物語」で描かれた絵も展示された。
 「ポーポキ友情物語」は、被災地などに横長の布を届けて絵を描いてもらい、人々のつながりを深めながら被災地の平和や安心について考える活動で、東日本大震災をきっかけに始まった。会場では来場者が布に絵を描くこともでき、訪れた子どもたちは思い思いにカラフルなフェルトペンを走らせた。同団体の代表者は、「いつ何がどこで起きるかは分からない。(災害に備えるための)基本は人とのつながりだけど、(災害が)起こってからでは遅い。だから(今のうちに)できることをやっていこうという活動です」と話した。

(写真:布の左端に描かれている猫の名前がポーポキ 2025年9月14日14時36分撮影)

▽ステージではちんどんショーやクイズ大会
 ステージでは模擬店のPRや神戸大合気道部による合気道演武が行われた。ステージ進行では、手話サークルぺんぺん草が手話通訳をした。
 神大モダン・ドンチキによるちんどんショーでは、今月7日に阪神タイガースがセ・リーグ優勝を果たしたことにちなんで「六甲おろし」が演奏されたほか、「東京ブギウギ」や「となりのトトロ」などの昭和歌謡やアニメソングで観客を包み込んだ。

(写真:「六甲おろし」を演奏する神大モダン・ドンチキのメンバー 2025年9月14日13時45分撮影)

 実行委は2年ぶりに2択クイズ大会を実施。灘区にちなんだ問題や、ポーズ合わせを用いた風変わりな問題が出題され、参加した子どもらを楽しませた。
 最後には、目玉企画のビンゴ大会も行われ、1等のアトアのペアチケットを受け取った女性は「とってもびっくりして、とても楽しいです」とステージ上で笑顔を見せた。

(写真:ステージで行われたビンゴ大会 2025年9月14日15時26分撮影)

▽「震災30年、復興祭の役割果たせたかな」と実行委共同代表
 灘チャレンジ実行委員会の共同代表を務めた清水佑真さん(工・3年)は、「今回が大震災から30年ということで、展示にも結構力を入れてもらった。復興祭としての役目を果たせたかなと思う」と振り返り、「地域の方々と大盛り上がりなお祭りをさせてもらえて、地域の方々の温もりを感じられた」と続けた。
同じく共同代表を務めた西谷彩香さん(法・3年)は、「お客さんに防災について考えてもらえるような企画を実施して、参加者さんに(そのようなことを)考えてもらえたかなと思う」と話した。

●関連記事=「地域密着の復興祭『灘チャレンジ』 9月14日(日)都賀川公園で」(2025年9月5日)

(写真下:灘区民ホール東側のテントでも焼きそばなどが販売された 2025年9月14日15時26分撮影 画像の一部を加工しています)

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