第46回の「六甲祭」が開幕しました。1980年に第1回が行われた六甲祭も45年の歴史を重ねてきました。しかしその六甲祭に至るまでの“前史”がありました。
神戸大学大学文書史料室所蔵の各学部の「卒業アルバム」や『神戸大学新聞』、放送委員会の『KUBC PRESS』(1981年創刊)、ニュースネット委員会の『神戸大学NEW S NET』(1995年創刊)などの学内メディアの記事でたどってみます。<編集部>

<画像:1957年「開学記念祭」のポスター。1958年卒業アルバムから>
●1952年の「創立記念祭」は、米軍接収から返還された六甲台講堂で実施
当時の『神戸大学新聞』を見ると、1949年(昭和24年)の「開学記念式典」から1960年の「第11回開学記念祭」までは、学園祭の呼称もバラバラで、「第○回」の数え方も統一性がありません。
1952年(昭和27年)の「創立記念祭」(5月15日〜6月1日)は、米軍接収から返還された六甲台講堂で実施されたことが記されていて、「戦後」の影響が大きかったことも感じさせます。
しかし、新制大学スタート直後で、全学部の足並みをそろえたいという機運が、徐々に高まっていったことも感じ取ることができます。

<画像:1967年の卒業アルバムに掲載されているパレードの様子>
●恒例の「パレード」「市中行進」「仮装行列」
1958年5月14日の『神戸大学新聞』紙面には、<開学記念祭>で「前夜祭が磯上球技場横で開かれ市中パレードにうつる予定」とあります。翌1959年(昭和34年)5月25日紙面の写真には、「安保条約阻止の市中行進を終えて、海員会館の職員に紙吹雪で迎えられる神大生(前夜祭デモ)」というキャプションが添えられています。
1967年の卒業アルバムには<大学祭>で行われたパレードの写真が掲載されていて、1971年の第1回の<六甲台祭>でも「前夜祭仮装行列」というタイトルで“沖縄協定批准反対”の幟を持って三宮から元町まで歩いたことが、卒業アルバムに残されています。このパレードは10年以上にわたって神戸大の学園祭の恒例行事だったことがわかります。
●「開学十周年統一記念祭」のスローガンと総括
1958年(昭和33年)の5月14日付『神戸大学新聞』紙面は開学記念祭特集号として、4面建てのうち、1面、2面を割いて「開学十周年統一記念祭」を大きく扱っています。
トップ記事のリードにはスローガンが書かれていて、「平和・民主主義と社会進歩のために」、「学生・教職員・第2課程との提携のもとに、全学あげての盛大な記念祭にするために」、「真の総合大学の実現のための一環として、学舎統合を促進するために」、「文化的水準を高め、アカデミックな記念祭にするために」の4項目が挙げられています。
翌月の、1958年(昭和33年)6月12日付『神戸大学新聞』の3面には、「開学記念祭総括 消化しきれなかったスローガン」、「学生運動の一環として成功」という見出しで囲み記事が掲載されています。
記者曰く、「特に前夜祭においては、1600名もの多数の学生が市中パレードに参加し、市民にアッピールしたこと」は「意義のあるのものであった」と評価しています。
一方で、中執が前夜祭に「東西首脳会議を成功させよう」などの宣言・決議を行なったものの、一般学生にその意向が十分に情宣されていなかったために、「騒動が持ち上がるという不手際な事態が出現した」と指摘しています。

<画像:六甲台正門に設置された第11回開学記念祭のゲート装飾 1961年アルバムから>
【神戸大学 開学記念祭一覧】
1949年(昭和24年) 開学記念式典(11月1〜6、13日)
1950年(昭和25年) 開学記念祭(5月15日中心に、六甲台3学部で)
1951年(昭和26年) 神戸経済大学開学記念祭(5月)
1952年(昭和27年) 創立記念祭(5月15日〜6月1日)返還された六甲台講堂で
1953年(昭和28年) <詳細記事見当たらず>
1954年(昭和29年) 全学統一開学記念祭(5月)
1955年(昭和30年) 第2回統一開学記念祭(5月14日〜6月5日)
1956年(昭和31年) 統一開学記念祭(5月12日〜6月3日)
1957年(昭和32年) 開学記念祭(5月15日〜)
1958年(昭和33年) 開学十周年統一記念祭(5月14日〜18日)
1959年(昭和34年) 第3回全学部統一開学記念祭(5月15日〜17日)
1960年(昭和35年) 第11回開学記念祭(5月13日〜15日)
※各学部アルバム、神戸大学新聞の写真、記事、見出しから。
1960年の第11回「開学記念祭」の後を受けて開催された1961年からは、名称が「大学祭」になり、やがて、毎回統一の「テーマ」が公表されるようになっていきます。
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この連載は、六甲祭実行委員会などの協力を得て、社会科学系学部の同窓会「凌霜会」の機関誌『凌霜』に、2024年1月号から連載されている記事を、転載しています。
▼連載記事リンク
【六甲祭ヒストリー】① 新制・神戸大学「開学記念式典」が戦後の学園祭の出発点
【六甲祭ヒストリー】② 1950年代の「開学記念祭」
【六甲祭ヒストリー】③ 1960年代の呼称は「大学祭」
【六甲祭ヒストリー】④ 1971年〜79年の「六甲台祭」
つづく
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