11月16日、一般社団法人神戸大学工学振興会(KTC)主催の神戸大工学部同窓会100周年記念式典が行われた。会場の神戸市内のホテルには、同窓生や現役の学生、大学関係者など約200人が参加し、工学部と同窓会のさらなる発展を誓いあった。式典の後には懇親会も行われ、会員は親睦を深めた。<成瀬 泉>

(写真:工学部同窓会100周年記念式典はマンドリンクラブのOB・OGの演奏で幕を開けた 2025年11月16日午後 中央区の神戸ポートピアホテルで)
オープニングアクトには、神戸大マンドリンクラブOB・OGとその家族で結成されたマンドリンアンサンブル楽楽・神戸が演奏し。華やかな弦楽器の音色で幕が開いた。

(写真:神戸大学工学振興会の森高英夫・理事長の開式の辞)
KTC理事長の森高英夫さんが壇上に上がり、同窓会のこれまでの発展の歴史を振り返って、「同窓会を卒業生と大学をつなぐネットワーク組織としてより盤石なものにしていきたい。次の100年はこれまでの先輩方が受け継いできたものをさらに発展させる時代になるでしょう」とあいさつ。

(写真:祝辞を述べる藤澤正人学長)
来賓の藤澤正人学長は、工学部同窓会による大学への支援に感謝を述べるとともに「これからの時代はより多くの優秀な博士・アカデミア人材の育成が必要となる。工学部同窓会の皆様にはぜひご助力いただきたい」と語りかけた。

(写真:祝辞を述べる坂井信也・校友会会長)
また、校友会会長の坂井信也さんは「神戸大には文理問わず優秀な人材が集まっていて、多くの卒業生が活躍している。神戸大をさらに盛り上げるために、大学や校友会、同窓会を含めて一丸となって『One Kobe Family』で頑張りましょう」と卒業生の協力を呼びかけた。
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(写真:記念講演「日本のロケット開発」で壇上から語りかける講師の名古屋大の松山行一特任教授)
記念講演には名大特任教授の松山行一さん(D9)が登壇し、「日本のロケット開発-Legacy SpaceとNew Space」と題して講演を行った。松山さんは、自身の経験を踏まえて日本のロケット開発の歴史と問題、他国に対する日本の遅れについて話し、ロケット開発の基盤の維持・拡大の重要性を語った。政府の予算配分や管掌省庁の変化、開発目標の変更などに翻弄されてきた現場の実情に、来場者は熱心に耳を傾けていた。

(写真:パネルディスカッション「日本の『工学』の未来を見据えた同窓会の役割」)
式典の最後にはパネルディスカッションが行われ、「日本の『工学』の未来を見据えた同窓会の役割」というテーマのもと、各界で活躍する工学部卒業生が議論した。松山行一さん、工学研究科長・藤井稔さん、日野自動車CTO・脇村誠さん(M41)の3人のパネリストらは、ファシリテーターの大村佳也子さん(S9)とともに、現代日本が直面する課題と課題解決のための同窓会の役割について話し合った。
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(写真:懇親会で開会のあいさつを述べる鴻池一季・工学振興会 元理事長=左、早朝のインドからオンラインで現地の卒業生の活躍を紹介する、オリエンタルコンサルタンツグローバル執行役員の阿部玲子さん=右)
懇親会では鴻池一季 元KTC理事長のあいさつに続いて、オリエンタルコンサルタンツグローバル執行役員の阿部玲子さん(1989年土木工学専攻修了)が、インドにおける神戸大学の卒業生が活躍していることをオンライン中継で紹介。あわせて、インドに駐在している工学部同窓生からのビデオメッセージが上映された。地下鉄網の建設現場での安全管理や、高層マンションの開発、資源の回収など、校友会インド支部の工学部出身メンバーの現場からのメッセージが会場で披露された。

(写真:懇親会で乾杯の音頭をとる大村直人・前副学長=右端)
大村直人・前副学長の音頭で乾杯に続いて、現役学生らの活動紹介も行われ、工学部同窓会100周年を幅広い世代が祝った。
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参加者の一人、新制工学部2回生の井上理文さん(1954年機械工学科卒・機械クラブ)は、「入学したときは戦後間もないときで、(御影分校から進学した)西代の校舎も(空襲で焼けた校舎を建て替えた)木造2階建ての質素なものだった。焼玉エンジンの装置なども修理しながら使ったのを思い出す」と振り返り、卒業後はシュークリームの製造ラインをオートメーション化した経験を、席を囲んだ後輩たちに語った。記者には、「工学部同窓会が100周年を迎えたのはうれしいかぎりです」と、90歳を過ぎたとは思えない張りのある笑顔で答えた。
了
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