創部110周年のマンドリンクラブ定演 委嘱作初演で神戸の街と記憶描く

 12月20日、神戸大マンドリンクラブが神戸芸術センターで第70回定期演奏会を開催した。今年で創部110周年を迎える節目の演奏会とあって、会場にはOB・OGや部員の家族ら多くの人が足を運んだ。委嘱初演作品となった壷井一歩さんの『あの猫の絵を描いた人がいる街で』では、神戸の街や人々の記憶を音楽で描く舞台となった。<川﨑成真>

(写真:マンドリンクラブの第70回定期演奏会。2025年12月20日15時57分、神戸芸術センターで)

 神戸大学マンドリンクラブは43人の部員を抱える大学公認の音楽団体。1915年に神戸高等商業学校(神戸大の社会科学系学部の前身)の音楽部にマンドリンが持ち込まれたことを源流とし、今年は創部110周年の節目に当たる。
 それだけに、マンドリンクラブのOB・OGらをはじめ、多くの人が会場に足を運んだ。1973年に法学部を卒業したというOBはニュースネットの取材に、「(演奏会には)時々来ている。(創部110周年と聞くと)時が流れたんだなぁと感じる」と話した。

 定期演奏会は3部構成で進行した。第1部ではP.ラコムの組曲『ジプシーの乙女』と、芥川也寸志の管弦楽作品『交響管弦楽のための音楽』を演奏。指揮は第70代指揮者の上田遥可さん(法・3)がつとめ、躍動感のある音色で演奏会の幕を開けた。

(写真:第1部で指揮を務めた上田遥可さん=中央=)

 続く第2部ではE.グリーグの『ペール・ギュント第1組曲』より第1曲『朝』、J.バーンズの『アルヴァマー序曲』、G.マリンテの幻想曲『華燭の祭典』の3曲を演奏し、高橋亜有実さん(工・4)が指揮者を担当した。

 第3部ではOB・OGも加わっての演奏になった。
 A.カペレッティの『神秘』、壷井一歩さんの『あの猫の絵を描いた人がいる街で』、帰山栄治の『ハ短調の序曲』を演奏した。『あの猫の絵を描いた人がいる街で』は本演奏会の委嘱初演作品だ。この曲は神戸の大学に通う主人公の人間模様を描いた漫画『神戸在住』をモチーフとした作品。阪神・淡路大震災に関する描写もたびたび登場する。今回は神戸大生のマンドリンの音色に乗せて、来場者らの心に届けられた。
 アンコールでは、早稲田大学グリークラブの夏合宿で生まれた楽曲『はるかな友に』が演奏され、来場者らは演奏に乗せて歌詞を口ずさんだ。

(写真:第3部ではOB・OGも加わって演奏した)

 妻がマンドリンクラブのOGで、今回の演奏会にも出演していたという男性は「(妻は)普段から家でも練習のために弾いている。自分は弾けないけど、演奏を聴く分には好きだ」と話した。
 息子(海・2)の演奏を見に来たという女性は「(息子は)マンドリンのために大学に行っているみたいな感じ。(演奏会で息子を見て)楽しそうな感じで、素晴らしい環境に巡り合えたんだなと(感じた)」と親心をにじませた。

(写真下:打楽器も加わった、芥川也寸志の管弦楽作品『交響管弦楽のための音楽』)

Loading

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

月別アーカイブ

本誌誌面PDFアーカイブ

サークル・部活総覧

  1. 神戸大のサークル・部活のツイッター・アカウントを探せるぞっ!クリックすると、『神大PORT…
  2.  神戸大学の文化系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報…
  3. 神戸大学のスポーツ系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  4. 神戸大学の医学部のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随時更…
ページ上部へ戻る