輝き続ける奇跡のイベント
 ルミナリエ発案者に聞く

 今や神戸の冬の風物詩ともなっている神戸ルミナリエ。2009年の動員者数は365万人を数えるほどの一大イベントだが、その起源は、阪神・淡路大震災にある。

 1995年12月に初めてルミナリエの光が点灯したとき、訪れた大勢の人が涙を流した。今でも、雑踏のなかで立ち止まって手を合わせる人は見られる。ル ミナリエの発案者の1人で、作品プロデューサーの今岡寛和さんは、ルミナリエの役割をこう話す。「震災後というのは神戸にとって、開港以来の1つの歴史観。ルミナリエ のあの光の意味は、『震災』の2文字を、歴史観を、はっきり毎年刻んでいくことにあります」。

 しかし、刻まなければならないのは、悲しみの歴史だけではない。「ただ悲しんで祈ることを繰り返すだけのイベントであってはならない。そこには笑顔が あって良いと思います。『今年も1年お疲れ様。来年はもっと良い年になればいいな』。そんな風に、希望の光になるべきなんです」。ルミナリエが毎年1月 17日ではなく12 月中旬に行われるのは、震災によって、神戸に前向きなものが生まれてほしいという願いが込められているから。「鎮魂」と「希望」。ルミナリエは、この2つ が共存する奇跡の祝祭なのだという。

 最近では、阪神・淡路大震災との関連を知らずにルミナリエを訪れる人は多い。「時間がたつにつれて見る人の思いが変わるのは仕方がない。この町が、人が人を助け合ったあのときの記憶を大切に受け継いでいくことが重要です」。

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