神戸大学ニュースネット委員会 阪神・淡路大震災から22年 「災後」今も続く
1月号特集

高齢者の孤立防げ 復興住宅で活動
2017年1月13日 記者=瀧本善斗

 クリスマスイブの午後、被災者が多く住む復興住宅「兵庫県営岩屋北町住宅」(神戸市灘区)の集会室に笑顔で歓談するお年寄りの姿があった。学内のボランティア団体「灘地域活動センター(N.A.C.)」が開いたクリスマス会だ。学生手作りのマフィンが振る舞われ、サンタクロースの折り紙工作やビンゴ大会で場を盛り上げた。

【写真】学内のサークル「灘地域活動センター」が兵庫県営岩屋北町住宅で開いたクリスマスイベント(昨年12月24日・神戸市灘区で 撮影=瀧本善斗)

 N.A.C.は毎週土曜日に同住宅などでお茶会を開き、高齢の居住者が集える場を設けている。震災直後に仮設住宅で始めて以来続く活動だ。

 同住宅の戸数は約60。多くが70代以上の単身・夫婦世帯だ。震災直後の被災地では、体力・気力が衰え、外出の機会が減った高齢者が、地域社会から孤立するケースが多発していた。

 ある80代の男性は2002年に入居後、しばらく近所との付き合いが無く「ひっそりと隠れるように暮らしていた」。転機は04年、N.A.C.の学生からお茶会に誘われたことだった。親しくなった学生に大学時代の思い出を話したり、学生の進路相談に乗ったり、時には囲碁を打つこともあるという。次第に他の入居者とも交流が生まれ、本を交換して感想を言い合う女性の友達もできた。女性は「土曜日しか会わないが、お話ししていると勉強になる」と顔をほころばせる。

 一方、お茶会に顔を出さない入居者もいる。この日、リーダーの中村茜さん(国文・3年)は会の開始前に一軒ずつ訪問し様子をうかがった。快く扉を開けてくれる人ばかりではないが「普段インターホン越しでしか対応しない人でも、時々扉を開けて長い時間話し込むこともある。近所に相談しづらくても、学生相手なら話せることもある」と話す。地道な取り組みが災後の地域社会を支える。

INDEX

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編集後記

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