『いけいけレイバンズ~!』まるで六甲の山並みまで届きそうな大声援だ。第4Qの残り42秒までは、5-0で神大のワンサイドゲーム。一部昇格は、もう手が届いたかに見えたのに。
西日を受けた神大応援席は、千五百人の観客でぎっしり。学生、教官、父母、子供連れのOBまでが埋めている。オレンジの小旗、おそろいのメガホン。完全な神大ペースの試合に、観客席は沸きに沸いた。
しかし、悪夢は残り42秒に起きた。勢いづく同大勢力は、あと3ヤードまで攻め入る。神大スタンドからは、悲痛な『ディフェンス』コール。橙色の逆光の中の一瞬の砂煙。同大のタッチダウン。……夢は破れた。
○ ○
試合終了のホイッスル。神大スタンドには、静寂が訪れた。ぼうぜんと立ち尽くす、応援の観衆。泣き崩れる選手達。チアリーダーも、応援団も、泣いている。エールの交換。応援歌が重苦しく流れる。
やがて、『ようやったレイバンズ』の声がかる。スタンドから拍手も起こる。そうだ。震災を乗り越えて、よくここまでやってきた。また、来年だレイバンズ。みんなの応援がついている。(1995年12月11日発行手配り号外から)
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