震災文庫5周年 記念講演会行われる

付属図書館主催の「『震災文庫』開設五周年記念講演会」が二十二日の午後一時三十分から、瀧川記念学術交流会館で行われ、震災資料保存に関わっている専門家などが講演を行った。【11月22日 神戸大NEWS NET=UNN】

 「震災文庫」は阪神大震災関連の資料を収集している神戸大が、人文・社会学系図書館内に平成七年十月に設置した文庫。災害復興や地震研究、防災対策に役立つよう、震災に関わる図書や雑誌、チラシなど二万点を超える資料が公開されている。
また、資料をデジタル化してインターネット上に公開する事業(アーカイブズ)も行っており、所蔵 る資料目録や、主に被災者から寄せられた約千五百点の写真などもホームページで公開している。
(http://www.lib.kobe-u.ac.jp/eqb)。
さらに来年一月十七日からは、被災者が撮った音声・映像資料を公開することが決まっており、講演会の始めに試験公開された。この日公開されたのは、電車の不通を知らせる車内アナウンスや、震災直後の被災地を撮影したビデオ。いずれも、混乱する被災地を生々しく伝えるものだった。
続いて神戸都市問題研究所長の新野幸次郎・元学長による基調講演が行われた。講演の中で新野元学長は、震災文庫を「震災の経験を集めただけでなく、行政や市民がどう対応したかも伝えており、他地域や世界に一つの提案や教訓を与えることができる」と評価。「(震災文庫は)神戸大の責務としてこれからも発展させていかなければならない」と話した。
その後、歴史資料ネットワーク代表として、歴史資料の救出・保全に関わった奥村弘・文学部助教授や、建物被災状況調査とそのGIS化(地図から直接、情報アクセスできるシステム。現在実行中)を進めている福島徹・姫路工大教授、そして震災犠牲者聞き語り調査を行っている室崎益輝・神戸大都市安全研究センター教授による講演が行われた。それぞれ、別の分野で震災資料の伝承を行っている専門家で、各活動の説明や成果を交えながら、震災文庫のあり方について話した。

講演会には約七十人が参加。教職員のほか学外からも多数やって来て、講演に耳を傾けていた。聴講者の一人で、震災資料の収集を行っている「阪神・淡路大震災記念協会」の伊藤亜都子さんは「震災資料の集め方にもいろいろあることがわかった。専門家である各教授の話は私たちの活動でも参考にしたい」と話し、震災文庫については「大学の図書館内で行ってきただけあって、公開という意味では一番すすんでいると思う」と評価した。

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