家族問題を熱演 はちの巣座新人公演

 神戸大学演劇研究会はちの巣座第101回新人公演「ハックルベリーにさようならを」が8月23、24の両日、六甲台講堂で行われ、計150名の観客が集まった。【8月24日 神戸大学NEWS NET=UNN】

 「時計は動き始めたんだ」。
 父と離婚した母と暮らす、兄の「僕」と、弟の「ケンジ」。「ケンジ」は、家庭教師の「コーキチくん」にカヌーの魅力を教えられ、しだいにカヌーにのめりこむようになる。そんな時、父の再婚話が持ち上がる。「ケンジ」は衝撃を受け、父の再婚相手である「カオル」さんを拒否するが、一方で「カオルさん」に好意を持っている自分に気づく。母親を思う気持ちから素直になれない「ケンジ」は、葛藤に悩む。
 実は兄の「僕」は、「カオルさん」への好意と母親への想いの板ばさみから、「ケンジ」が作り出した仮想の人物だった。
 「ケンジ」はカヌーに乗り、隅田川を下る旅に出た。それは、自分さがしの旅だった。旅の途中、カオルさんから携帯電話がかかるが・・・。

 家族問題というテーマを扱っていながら、暗い雰囲気はまったくない。劇は終始リズムよく進んでいく。笑いも欠かさない。夜の女☆グリコさんのコミカルな演技には、客席からドッと笑いがおこった。
 蒸し暑い講堂で、うちわをあおぎながら観劇した男性(21)は、「いつも楽しませてもらっているが、今回もおもしろかったです」と満足そうだった。

 演出を担当した矢羽☆司さん(2年)は「今回は新人公演ということもあって、演じやすい作品を選びました。力強いセリフが多く、迫力があります」という。原作は、劇団「キャラメルブック」の成井豊さん。

 主役を演じたゲンチョルノおかんさん(1年)は、ケンジが作り出した仮想の人物である「僕」という、難役を演じた。「今回は男役ということで、今まで以上に気持ちを入れてきた」と話す。演劇の魅力を聞かれると、「普段の自分とは、別の自分になれることです」とにっこり笑った。

 力強い演技で観客をわかせた、夜のおんな☆グリコさん(1年)は、中学・高校と演劇を続けてきた。「もっと違う演劇の世界をみたかった。これを新たなきっかけにして、演技力を伸ばしていきたい」と話した。

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