薬学教育の在り方を検討していた文科省の研究会議は8月29日、薬剤師養成の教育期間を4年間から6年間に延長し、2コースを設置することを盛り込んだ中間報告を文科省に提出した。【8月29日 UNN】
薬剤師国家試験を所管する厚生労働省の検討会議は、受験資格としての教育期間を「6年一貫」とする方向で薬剤師法の改正を目指しており、6年一貫の学部教育と、4年間の学部教育に2年間の大学院修士課程を課すという2コース制を主張する文科省との調整は残るが、教育期間を6年とする大筋は一致した。
検討過程では、6年教育を必要とする点で、委員の意見は早期に一致した。しかし、6年一貫の学部教育を求める薬剤師団体や私大関係者と、4年で学部を終えて修士課程の研究活動に移れる仕組みを望む国立大関係者の意見が対立。結局、両方の制度を認めることになった。
中間まとめでは、学生が薬学の基礎的な能力と、臨床にかかわる知識を身に付けることの重要性を強調。人間理解のための幅広い教養や、患者とのコミュニケーション能力、倫理観などを育成し、薬剤師となるには6年間の教育が必要だとしている。また、現在は大学ごとに期間がまちまちな実務実習について、長期化を提言している。
文科省は、薬剤師資格を強く志す学生は6年制を選び、研究指向や4年で進路の再選択を考えたい学生は4年制を選ぶという、「住み分け」を想定している。薬学部を持つ大学は今年度、国立14、公立3、私立31の48校。1校を除いて大学院があり、昨年度の進学率は25.9%。国立大では7割が進学するという。
文科省の研究会議は10月にも最終報告をまとめる。同省は中央教育審議会に諮り、早ければ次期通常国会に学校教育法改正案を提出する。教育期間6年制移行には、法改正後も大学側の体制整備が必要なため、数年かかる見通し。
薬学教育の延長は、1996年にも文科省の有識者会議で検討されたが、医療現場の需要動向などを引き続き検討すべきとして、見送られた経緯がある。
薬剤師国家試験の受験資格は、4年制の薬科大か薬学部を卒業していること。年1回、3月末に2日間の試験がある。今年は10850人が受験し、8802人が合格した。合格率は81.1%。
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