野宿生活者の実態描く 灘チャ風刺劇

 震災をきっかけに始まった地域交流イベント「灘チャレンジ」が今年も行われ、恒例の風刺劇では神戸大生が「住む権利をもとめて~鈴木さんの野宿生活奮闘記~」を上演。野宿生活者の置かれた現状を訴えた。【6月6日 神戸大NEWS NET=UNN】

 地域に存在する問題をひろく住民に知ってもらう目的で、神大人民カゲキ団が6月6日、都賀川公園で灘チャレンジ2004のステージ企画の一環として、風刺劇「住む権利をもとめて~鈴木さんの野宿生活奮闘記~」を上演した。
 観客席となった都賀川公園内の階段にあふれた見物客や、立ち見の見物客は、みな熱心に劇に見入っていた。
Photo 「まさか自分がホームレスになるとは思ってもみなかった」。実際に野宿生活している人の言葉だという。今回の寸劇のテーマは、野宿生活者の実際を地域住民に知ってもらうことだ。主人公の鈴木さんは、突然の職場の倒産で、住んでいたアパートを追われ、公園でのテント生活をはじめることになる。
 空き缶を拾い集めて生計をたてるが、ある日市の職員に公園からの撤去を迫られ、「自らのぞんで野宿生活をしているのだから」と、居宅保護への申請や、敷金支給も拒否されるのだ。住所を持たないために、差別を受けるなど、苦境に立たされる野宿生活者の問題を浮き彫りにした。

 「野宿生活をしている方々は、自らの怠惰が原因であったり、自らのぞんで野宿生活をしているのではない。他にどうすることもできなくて、野宿生活をせざるをえない」。今回風刺劇の脚本を担当した、発達科学部3年の林英明さんはこう話した。
 神戸市内でも野宿生活をおくる人が400人ほどもいる。林さんはYWCAというボランティア団体に参加し、実際に野宿生活を送る人から話を聞き、その生活の実態を知ったという。寸劇の内容もここ一年に神戸市内でおきた類似した事例がモデルにされている。
 身体障害者や高齢者の人々は、善意をむける対象としてみられるのに、野宿生活者はそうでない。怠慢で恐い人たちであると思われているように、社会の彼等に対する認識はネガティブなものだ。だが実際には、明るい人が多く、段ボールで建てる家も、本物のようにきちんとしたものだと林さん。「多くの方は、野宿生活を営む方たちに対し、無意識のうちに差別と偏見を持っている」と考える。
 「今回の寸劇を通して野宿生活者に対する認識が変われば嬉しい」としめくくった。


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