[検証]合格発表ミス 連載3「大学のレベル」

 合格した!そう思って掲示板を見に行ったら、番号がない…。ショックを受けた受験生の心のケアはどうするのか。一方で、大学本部の組織の連係のまずさも問われている。他大学にも教訓となった、ホームページ(HP)合格発表ミス問題。独立行政法人化後、初めて直面した危機を、神戸大はどう乗り越えるのか。【3月16日 神戸大NEWS NET=UNN】?

《「番号がない」受験生のショック…心のケアは?》

Photo 合格発表は、9日午前10時から、キャンパスの掲示板とホームページで、受験番号のみを発表した。同5分ごろから受験生からの確認の電話が入試課や学部事務室にかかり始める。
 「10時に見た時は(自分の)番号があったが、もう一度40分後に見たら無くなっていた。どういうことか」。
 発達科学部を受験した生徒は、ウェブ上の合格者発表を見て自分の受験番号を確認。発達科学部のキャンパスに出かけて掲示板を見たら、受験番号がない。学部事務室に申し出たところ、不合格を告げられた。

 「一番してはいけないことだと思うし、3分間の間に見て本当は落ちていたのに受かっていたと思った人がもし自分だとしたら、やりきれない思いになる。」(広島県高校2年・男)。
 「大学の合格発表はその人の人生を左右することだから、それに関わる人はもっと慎重になるべきだと思います。」(経営1年・男)。
 「ありえない。合格発表は受験生にとって、特に浪人生にとっては本当に怖い。死活問題。私自身は10時ちょうどに見た人だし、たいがいの受験生は即チェックすると思う。それはないだろうというミス。簡単に対応しすぎちゃう?」(経済2年・女)

 合格発表という人生で最も緊張する瞬間。ミスが重大な影響をおよぼすことは、だれにでも想像できる。
 9日の会見で、野上智行学長は「万一、本学のミスが招いたことであるのなら、最大限の対応を考えたい」と話した。
 「自殺者でも出たらどうするのか」(40歳代男性・神戸大卒業生)という声もある。発表を見て、周囲に告げた後で、それがぬか喜びとわかったときの受験生たちのショックはいかばかりか。受験生に深刻な「心の傷」が残っているとしたら、大学は心のケアも含め対応すべきではないだろうか。

《“潔さ”すら感じられた大学の対応》

 神戸大では2004年度合格発表からHP上での合格者番号の公開を行っており、今回のような問題は初めて起こった。遠隔地で来られない学生のために、神戸大はHPでの合格者発表は続ける意向だ。
 今回のミスを避けるために、後期入試では違うアドレス=URLを使用するという。
 今回、当日の午後4時半に学長、副学長がずらり並んで急きょ記者会見。記者の質問にも積極的に応え、事実を隠そうという態度はなかった。
 その日のうちに、入試課は対応窓口の電話番号をホームページ上に公開し、11日と12日の土曜日曜は24時間、問い合わせに対応した。
 対応には終止“潔さ”すら感じられた。
 それほど、ミスは単純だった。ログも残っており、うやむやにできるものではなかった。

Photo《入試課と広報 本部内の混乱》

 「受験生の皆さん、再度、合否の確認をお願いします」。
 学長の緊急記者会見が行われた合格発表当日の午後。大学ウェブサイトのフロントページのトップに、異例のタイトルが掲載された。
 クリックすると、「午前10時の掲載直後から平成17年度のデータが載っているとの問い合わせが十数件ありました」。「受験生の皆さん、関係者の皆さんにご心配をおかけして申し訳ありません」。「疑念がおありの場合は、下記のところにご連絡ください」として、入試課長、課長補佐の実名とデスクの直通電話が掲出された。
Photo ウェブ上での初動は、比較的早かったといえる。
 ところが、このページの見出しが、まだ大学に責任があると認めていない9日の段階で「おわび」となっていて、あわてて「再度ご確認を」に差し換えられた。

 13日午後には、フロントページのトップのさらに上段に「受験生の皆さんへ お詫び」のタイトルが出た。
 ニュースネット委員会が、「何時に掲出したのか」と入試課に電話取材すると、入試課では把握していない様子。しばらく職員どうしのやりとりがあって、担当者はようやく「2時半ごろ」と応えた。
 入試課と、ネット広報担当との意思疎通が、あきらかに混乱している様子だった。

 ピンチに、その組織の風土が露呈する。
 ミスをした当該部署は現場の善処に徹して、広報はすべてを把握して外部への対応をする。
 ある程度の企業なら当然の対応が、この大学ではできていない。

《「神戸大のレベルはどうなっているのか」》

 6日には埼玉大で、HPに合格者31人の受験番号を掲載せず、誤って不合格者5人の番号を掲載したミスがあった。同大学によると、原因は「発表前の確認作業を怠ったこと」としている。
 人間はミスを犯すものだ。HPのミスは、作業はキーボード上で簡単にできるし、世界中の人に向けて掲示できるメリットがある。しかし、瞬時でも手順を誤るとはかり知れない影響がある。

 「こんな単純な作業ができないなんて、神戸大のレベルはどうなっているのか」(30歳代男性・メディア関係者)。「この大変な失策を反省するとともに、責任をしっかりととって欲しい。どのような改善策を取るのか」(経済2年・男)という指摘に、大学はどう応えるのか。

 「京大アメフット元部員の強姦事件」、「阪大生ホスト恐喝事件」と、大学生の資質が問われる事件が相次いでいるが、今回は大学本部中枢のミス。
 大学は、「22日の後期日程の合格発表までに、発表手順をマニュアル化するなど再発防止策たてる」(10日記者会見)としている。

組織の連係に問題
神戸学術事業会・高瀬進取締役(ネット事業担当)の話? インバウンズ・サービス(アクセスの集中)に対するノウハウが足りない。一人でアップして、そこにクレームが殺到すると、パニックになっただろう。事実は何かに気づくのが遅れてしまう。ネット操作と外部からの問い合わせ受けを、うまくリンクさせていない。情報を受ける、発信するを、組織として統合させる必要がある。ネットでは世界につながっているのに、学内の各組織が横につながっていない。

「ネットは補足」と考える甘さ露呈
神戸大工学部・森井昌克教授(情報通信工学)の話? 今回の件は私達、教職員が十分反省すべきだ。ネットでの公表を、補足的な手段と考えている甘さが露呈した結果だ。ネット社会では、「情報」を出せばよいと言うものではなく、その情報を欲している人がどのように見えるか、見た結果をどう判断するかが重要。必然的に外部からの検査が事前、事後、そして作業時にも必要になってくるだろう。少なくとも、ネットワークセキュリティの専門家の指示を仰ぐべき。セキュリティは、重要な「危機管理」の問題としてとらえるべきではないか。

他大学にも重い教訓
甲南大法科大学院・園田寿教授(情報法、刑法)の話? 合格発表という、人の人生を左右する重大な場面で、このような単純ミスがあったということは社会的にも非難されるべき失態だが、最近は入試出願や合格発表など、多くの大学がインターネットを利用している。今回の事件は他大学にとっても重い教訓だ。

         ◯      ◯?

 この連載は、森田篤、西麻理子、松本由紀が担当しました。編集部ではみなさんからのご意見をお待ちしています。newsnet@kobe-u.comまでおよせ下さい。〈完〉


【写真中、下】入試課と、広報の連携も問われた。?

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