コラム「伏流水」 東京生活を通して

 某官庁の職業体験で約二週間東京に滞在した。小さい時に祖母の友人から「東京の人は冷たい」と何度も聞かされ、大学も迷わず関西に決めた自分が、たった一人で池袋のホテルで生活することになり、不思議な気分になった。【10月6日 神戸大NEWS NET=UNN】

 実際に冷たいと少し感じた部分もあった。朝食では4人がけのいすでも会話は皆無であった。荷物を持ったおばあさんに誰も見向きもしない。紋切り型で祖母の友人の言葉を信じかけていた。
 しかしこの見解を覆す発見があった。街の「動き」に対して時間が異様に早いということだ。都会ではかなり「時間に対する意識」を要求されるようだ。数分間隔で来る電車は毎回満員。次の電車を待たずいっぱいの電車に駆け込む人も見られた。数分でも遅れると遅刻なのかもしれない。
 私は一つの考えを持った。それは「街」の性質が違うというものである。街に求められるものが違うためにイメージが変わってしまう。比較的のんびりとしている田舎では求められないものが求められている。自分だけで精一杯。他者に構ってられない。その潜在意識が「冷たい=東京」のイメージを作り出しているのかもしれない。そう感じた東京での生活だった。

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