神戸大農学部は丹波篠山に昭和24年設置された兵庫県立農科大学を源流としている。平成19年4月、大学院自然科学研究科の改組により大学院農学研究科が誕生。10月末に学舎改修が終わり、来年度には学部改組が予定されている。新たな展開を迎える神戸大農学部、農学研究科にせまる。【10月18日 神戸大NEWS NET=UNN】
近未来に起きると予想されている食料・エネルギー不足と環境問題を解決できる具体的な要素を持つ農学は世界レベルで注目されており、農学分野への社会的な要請は大きい。そのため、高度な知識を持つ人材の育成を行うことが農学系学部、大学院の急務となっている。
神戸大農学部・大学院教育研究科では、食料生産、環境保全、健康生命を大きな学問テーマとしている。一貫した学問テーマで教育を行うことで、「学部、修士、博士の3課程で見通しのよい教育を受けることができる」と中村千春・農学研究科長。
学部教育は、食料生産環境工学、植物資源学、応用動物学、生物機能化学、生物環境制御学で構成されていた5学科を、テーマに沿うよう来年度から食料環境システム学(2コース)、資源生命科学(2コース)、生命機能科学(2コース)の3学科6コースに改組する。
大学院教育では、博士課程前期課程、後期課程共に、食料共生システム学専攻、資源生命科学専攻、生命機能科学専攻の3専攻で構成されており、一貫した教育を受けることができることを特徴としている。
教育、研究の充実を目指すだけではない。研究成果を世間に発信することも重要視している。今年7月に発売されたポテトチップス「らんらんチップス」の様に、兵庫県加西市にある附属食資源教育研究センター(旧・附属農場)で収穫された農作物が用いられた商品の販売にも協力している。「社会に我々の活動を知って頂くことで、農学が目指す持続可能な共生社会を作れる」(中村研究科長)と考えるからだ。
数ある農学部の中で神戸大は特に国際性を強調する。神戸が国際都市であることも含め、地域から世界へと研究の幅を広めていくことが重要だと考えるからだ。
地域とのつながりを増やす一環として、今年4月に兵庫県篠山市と連携協定を締結した。
国と国をつなぐ役割も演じようとしている。今年10月から、国内の他大学と協力し、5年計画で大学院生・助教など若手研究者をヨーロッパの大学に派遣し知識を習得させ、その研究者らを神戸大と学術協定を結んでいるアジアの大学に派遣する事業(ITP)を始める。初年度となる今年は事業の具体的な活動内容を決め、来年度から派遣を実施する予定。
大学院重点化後も、様々な活動が行われている農学部、農学研究科。中村研究科長は学生に向けて「大学は科学の大切さ、社会への責任、何より科学の面白さを学ぶ場。楽しんでほしい」と話している。
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