調査結果を発表 医学研の実験不手際

神戸大は5月10日、大学院医学研究科の久野高義教授(分子薬理学・薬理ゲノム学)の研究室のメンバーらによる遺伝子組換え実験の不手際疑惑に関する調査結果を発表した。同大は同研究室のメンバーが培養器を廊下に設置し実験を行い、実験に用いた大腸菌を不正に処分していた疑惑を事実と認めた。また、関係者の証言により平成14年から不正行為が行われていることが明らかとなった。野上智行・神戸大学長は「社会の信頼を裏切り心から深くお詫び申し上げます」と陳謝した。【5月10日 神戸大NEWS NET=UNN】?Photo


  文科省は3月17日、久野教授の研究室のメンバーらが実験禁止区域の基礎実験棟の廊下で遺伝子を組み替えた大腸菌の培養を行っているという匿名通報を受け、神戸大に報告。同大は事実関係を確認する目的で学内に設置している遺伝子組み換え安全委員会が3月28日から同研究室及び同様の実験を行う研究室で調査を行った。

 調査の結果で同大は、同研究室のメンバーが遺伝子を組換えた大腸菌の培養を廊下に設置した培養器で行い、十分な処理がされないまま一部を下水に流し、他は一般廃棄物の可燃ゴミとして処分した疑惑を事実と認めた。他の研究室で同様の不手際は確認されなかった。同委員会によると、違法な実験、処理は平成14年4月まで遡(さかのぼ)り得ることが卒業生を含む同研究室所属の教員、大学院生、学部生らの証言で確認されたという。

 また、野上学長は4月4日に行われた記者会見では適切な処理が行われていたとしながら実際には違法処理が行われていたことに関して「認識が甘かった」とした。

 久野教授の処分については、学内に設置されている教育研究評議会で近く審議され、決定が下される予定。

 記者会見には久野教授の姿がなく、不正な処理が代々引き継がれているのか、久野教授による指導はどの範囲まで及んでいたかなど明らかにされなかった部分がある。同大は今後、詳細な調査を行っていく構えを見せた。

<長すぎた調査、研究停止 学内からの不満の声に「申し訳ない」>
 発表に至るまで報道陣の取材を拒否し続けた神戸大。今回の会見まで一切口外しなかった理由に前回の会見を反省し、「より慎重により確実に報告しようと思った」と野上学長は話す。
 不手際を受けて同大は4月11日に全学に遺伝子組換え実験停止するよう通達。学内からは満足に研究ができないことから不満の声が上がっていた。同大は5月10日に実験を再開させた。「断腸の思いで実験停止を決断した」とし、「真面目に研究していた人に本当に申し訳なかった」と野上学長は謝罪した。

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