14年、「ずいぶんと長く」 竸さんの父、和巳さん 第四回竸基弘賞

 阪神・淡路大震災で亡くなった竸基弘さん(当時・神戸大大学院自然科学研究科博士前期課程・1年)にちなみ、レスキューシステムの研究開発に貢献のあった40歳未満の研究者を表彰する「竸基弘賞」の授賞式が1月15日、神戸国際会議場で行われた。式には基弘さんの父の和巳さんも出席、受賞者にトロフィーを授与した。【1月15日 神戸大NEWS NET=UNN】

 生前、基弘さんは「ドラえもんのような人の心をいやすロボット」を作りたいと願っていた。その思いを当時基弘さんの教官であった松野文俊・元電通大教授らが引き継ぎ、「竸基弘賞」の授賞式を平成18年から毎年1月に実施している。今回で4回目。賞を受賞した研究者は、山下淳・静岡大工学部准教授と土井智晴・大阪府立工業高等専門学校准教授。

 式には基弘さんの父、和巳さんも出席。今回受賞した山下さんは昭和48年生まれで、昭和46年生まれの基弘さんより若い。和巳さんは「今年の1月17日で震災から満14年。ずいぶんと長く感じられる」と時の経過について話し、「震災の記憶を風化させない。残しておきたい。その為にもこの賞を長く続けていけたら」と願う。

●賞を受賞した研究者の研究内容
▽画像処理技術向上に取り組む 山下准教授
 レスキューロボットが救命活動を行う際、搭載しているカメラを用いて情報を収集し、周囲の状況を把握する。しかし、災害時には粉じんや泥などの汚れがカメラ保護ガラス面に付着するなど、視野が妨害される可能性がある。山下准教授は、単体の首振りカメラ、ステレオカメラ、複数視点のカメラを状況に応じて使い分けて画面上の汚れを特定し、除去する画像処理技術の向上に取り組んだ。選考に携わった松野教授によると、レスキューシステムだけでなく、様々な分野にも実用できる可能性があり、満場一致で決定したという。
 実用化の段階には至っていないが、「今後、ロボットに実装していきたい」と山下准教授は意気込む。

▽シロアリ駆除ロボットへの応用 土井智晴准教授
 土井准教授は平常時のレスキューロボットの適用を考え、レスキューロボットの主な活動場所である瓦礫(がれき)の下など共通点が多い、シロアリ点検に注目。民間企業とともにシロアリ防除ロボットシステム開発を行い、実証実験で有用性を確認した。
 土井准教授は震災当時、「何もできなかった」ことを反省して、「何か手伝えることはないか」と考えレスキューロボット開発を始めた。「より高度なものが現場で活躍できれば。更なる若者が研究開発を続けていってほしい」と願った。

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