横溝正史ミステリ大賞受賞 「作中、神戸の光景をイメージ」伊予原新さん

伊与原新さん(1996年に理学部を卒業)が「お台場アイランドベイビー」で第30回横溝正史ミステリ大賞の大賞を受賞した。同賞は角川書店が主催する新人文学賞。神戸大出身の注目のミステリ作家の誕生だ。受賞作や学生時代について話を聞いた。【11月12日 神戸大NEWS NET=UNN】?

  選考委員の綾辻行人氏が「頭抜けて優れていた」と評した「お台場アイランドベイビー」。満場一致の大賞受賞だった。東京を壊滅寸前まで追いやった大震災から4年後。物語は、元刑事の主人公と不思議な少年との出会いから始まる。隔離された島と化したお台場の謎に挑む登場人物の姿が頼もしい。近未来の日本を舞台に、人間の絆を描いた感動ミステリ作品だ。?

 小説家になりたいという夢は特に持っていなかった。「ただ、文章を書くのは好きだった。やりたいことの一つとして創作活動があった」。2年前にプロットを思いつき、半ば衝動的に書き始めた。「自信がなくて誰にも読ませなかった。どれくらいのものか試そうと思って応募した」というのが江戸川乱歩賞。第55回、56回の最終候補に残った。2作目で感じた手ごたえ。これが横溝正史ミステリ大賞大賞の受賞へと繋がる。「嬉しかった。奥さんにまずメールで伝えたけれど、価値がよく分かっていなかったみたいで」と笑顔で話す。?

 大賞受賞作「お台場アイランドベイビー」では、ビルや道路が倒壊した様子が詳しく描かれている。想定したのは1995年に起きた阪神淡路大震災後の街並み。神戸大学の3年生だった。「考え方に影響を与えた衝撃的な出来事。頭のどこかで神戸の光景をイメージして書いていた」。下宿していた友人のアパートは震災直後、「住んでいた大阪と違って、ぐちゃぐちゃだった」と話す。「荷物を取りだすのを手伝ったのを覚えている」と当時を振り返る。?

 理学部地球科学科(現地球惑星学科)を卒業し、東京大学大学院に進学。大学院では学部の頃から専門にしていた地球科学の研究に没頭した。「自分自身が感動できることが科学系の問題。それを物語に入れることで彩りが出てくる」と地震をテーマにした理由を明かした。?

最近、久しぶりに神戸大を訪れた。「キャンパスから見える夜景は思い出に残る景色。久々に見たら、泣きそうになった」と話す。現在は執筆活動の傍ら、富山市内で大学教員を務める。大学生と触れる機会が増え、「学生は『こうじゃないといけない』と思いがち。実際ははそんなことはない」と感じる。「普通」の大学生だったと自身を語る伊予原さん。たくさん本を読み、たくさんの友人と遊んだ。「友だちや教授に恵まれた大学生活だった」と母校について触れた。 期

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