神戸大を中心とした学生と灘区民が協力して運営する「灘チャレンジ2012」が6月3日、都賀川公園で開催された。企画の趣旨に賛同する様々な団体が、模擬店の出店やステージでのショーなどでイベントを盛り上げ、親子連れを中心とした来場者を楽しませた。【6月6日 神戸大NEWSNET=UNN】
「灘チャレンジ」は、1995年の阪神・淡路大震災で灘地区が被災したことをきっかけにして始まった、神戸大の学生と灘区民との共同企画。同年6月に「落ち込んでしまった灘のまちを元気にしたい」「灘の人たちと一緒にまちづくりにチャレンジしたい」という想いで「復興祭」として始まった。近年は「復興祭」としての祭りから「発信と交流」をコンセプトとする祭りへと変わっており、18回目の開催となる今年のテーマは「まちを知り、より良いまちへ」。地元を知り、地元の人たちを知ることでより良いまちを作ろうと、学生を中心に昨年の冬から準備を進めてきた。
当日は一時雨も心配されたが、降り出すことは無く大勢の人で賑わった。約30の団体が模擬店を出店し、行列が出来るほどの人気を集めた団体や、鹿肉料理など一風変わったものを提供する団体もあった。
メインステージでは風刺劇も行われた。風刺劇は実行委員の一年有志による劇団「からしれんこん」によって行われる、灘チャレンジ恒例の出し物。昨年は在日外国人、今年は発達障害を取り上げ、「言葉は耳にするが、詳しくは知らない」ようなテーマを観客に訴えている。「からしれんこん」の演劇は、風刺劇とは言うものの、毒のあるものではない。健常者の「常識」「当たり前」の視点が、発達障害を抱える人にとって大変な負担となること、発達障害は程度の差こそあれ、誰もが抱えている可能性があることなど、マイノリティとされる人々の現状をリアルに描いた。途中、マイクの音が聞こえない等のトラブルも発生したが、演者の堂々とした演技に100人を超える観客が引き込まれた。演じるにあたり劇団員は、実際に発達障害を抱える人たちと交流する機会を設け、主人公役を演じた石川雄也さん(発達・1年)が「自分も最初は発達障害を抱える人たちに対して特別扱いしていた部分もあった。しかし実際に触れあってみて自分たちと何も変わらないことに気付いた。」と話したように、演じる側にも良い影響があったようだった。
灘チャレンジ実行委員会代表の沼田智紀さん(発達・2年)は「今年のテーマは『まちを知り、より良いまちへ』だが、自分でも灘のことについてわからないことも多く、積極的にまちのことを知っていかなければならなかった。今日はたくさんの人が楽しそうにしていて、開催して良かったと思う。」と笑顔で話した。
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