【震災特集2016】職員の姿 「情に堪えず」 学長 、定年直前も震災対応

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 当時学長だった鈴木正裕さん(法学部名誉教授)は、地震発生から4日目に大学で電話を受ける。個人的に親しかった応援団OBからの「団長の高見秀樹君=当時(経済・3年)=が亡くなりました。葬式に花を出してください」という内容。鈴木さんに神戸大生の死亡情報が入るのは初めてだった。「応援団長をやるくらい体格のしっかりした学生が亡くなった。今後も死者が出ると予感した」と話す。

 職員は避難してきた近隣住民の対応にも追われた。神戸市から届けられた物資を、避難者がいる各所に運ぶのも職員の仕事。鈴木さんは「職員にも被災者は多い。日に日に痩せ、ひげも伸びる。情に堪えない思いをした」と唇をかんだ。

 週に1度しか帰宅せず、連日泊まり込みで勤務してきた鈴木さんは地震から約1カ月後の2月15日に定年退官。久しぶりに帰宅すると妻から、前夜に鈴木さんの母が亡くなったことを伝えられた。危篤の時、鈴木さんは大学で慰労のすき焼きパーティーを身近な職員と開いていた。妻は秘書役の職員に電話を入れたが、戻っても間に合わないと考え「(知らせなくて)結構です」と伝えていたという。

 奔走の日々を振り返り鈴木さんは訴える。「神戸大は歴史に残る震災を経験した大学。学生も教職員も過去に敏感であってほしい」

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