【7月号掲載】「軍事研究」問う講演 権威招き現状検討 教職員組合

 神戸大教職員組合は講演会「大学における軍事研究を考える?その歴史と現状?」を6月16日、瀧川記念学術交流会館で開いた。講師に科学史の権威、杉山滋郎(しげお)北海道大名誉教授を招き、学生や教職員ら約60人が訪れた。

 杉山氏は1月に、学術界が軍事研究にどう向き合ってきたかを考察した著書「『軍事研究』の戦後史」を発表するなど、退職後も研究を続けている。

 講演会では3月に日本学術会議が出した「軍事的安全保障研究に関する声明」を杉山氏が分析。これまでの声明と違い、軍事研究をしない根拠に学問の自由を挙げていると解説した。さらに「対象を大学に限定していると感じる。防衛省、民間企業の研究にも言及すべきだ」と指摘する。

 また民生分野にも軍事にも利用できる「デュアルユース(両用)技術」への向き合い方について、研究が持つ可能性を吟味し、軍事利用を管理・規制するしかないと主張した。

 講演の最後には科学技術研究について「開発者も数十年後に技術がどう使われているかまでは把握できない。研究者のコミュニティー全体で責任を取るべきだ」と述べた。

 講演会の世話人を務めた人間発達環境学研究科の井口克郎准教授(社会保障)を含む教職員有志は武田廣学長に5月、軍事転用が懸念される研究の取り扱いについて、大学として指針を明確にするよう求める要請書を提出している。

 講演後の挨拶で井口准教授は「(軍事研究の是非は)組合内でも意見が分かれる問題なので、このイベントを主催できたのは大きな成果。真正面から議論する大切さを痛感した」と語った。

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