インタビュー『LIVE』緊急企画「コロナ禍の下の神大生」?
アメリカンフットボール部レイバンズ前主将・中谷建司さん

 今年春、新型コロナウイルスが社会を襲った。大学でも、2020年度前期の授業が大型連休明けに遅れてオンラインで開始した。直接顔を合わせての授業や課外活動ができず、キャンパスにすら出入りできない状況が続いている。新歓も実施が難しく、新入生もサークルの担当者も困難に見舞われている。コロナ禍の下で、神戸大生はどう過ごしているのか。また、部活動・サークルはどのような状態に置かれているのか。インタビュー『LIVE』緊急企画「コロナ禍の下の神大生」では、危機に立ち向かう部活動・サークルの代表者たちに話を聞く。

 第一回は中谷建司さん(法4回)。アメリカンフットボール部レイバンズで昨年主将を務めていた中谷さんは、昨年秋のアメフト関西学生リーグで神戸大の快進撃を支えた。


(写真=アメフト全日本大学選手権の西日本代表校決定トーナメント2回戦・中京大戦で観客席を見上げる中谷さん(中央)。この日は中京大を24?17で破り、準決勝進出を決めた。2019年11月17日、名古屋市港サッカー場。)

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公式LINEで神大生を結びたい

 2019年12月に部を引退した中谷さんは、現在ある画期的なプロジェクトに取り組んでいるという。名前は「UNICLE(ユニクル)」。LINEの公式アカウント機能を活用し、例えば新入生ならサークル探しから、興味を持った団体の新歓イベントに申し込むまでを全て同じLINEのトーク上で行えるなどといった新たなポータルサービスを作ろうというものだ。中谷さんの新たなチャレンジと今の暮らしについて話を聞いた。


(写真=Zoomでの取材風景。左下が中谷さん)

(聞き手)「LINE@新歓」などと聞いていますが、このプロジェクトの正式名称は何ですか。
(中谷さん)「UNICLE」という名前で、僕ともう1人のアメフト部のやつと考えたんですけど、UniversityとCircleっていう単語を合わせて、ユニークな感じでしていこうって意味も込めてUNICLEにしました。これで大きくしていこうと思って、ちゃんと考えようとなって。

きっかけはレイバンズ後輩からの悩み相談

(聞き手)サービスは神戸大学の公式の新歓LINEアカウントを作り、いろんなサークルの公式LINEとかに繋がるという感じですか。
(中谷さん)今のところはこう、きっかけなんですけど、今コロナで(レイバンズの)後輩が、アメフト部って結構大きな新歓でなかなか難しいみたいで。(新入生に)会えないし、学生がどこにいるか分からない感じで、じゃあ他の部活とかサークルもそれで絶対悩んでいるなと思ったので。
 KooBeeさんいらっしゃるじゃないですか、あれとかって結局団体見ても自分たちでアクションしないといけないので、それだったらLINEというみんながやっているところで新歓の予約までできるシステムにしたらめっちゃ楽になるなと。お互いが楽になるなと思ったので、まずそのシステムが自分たちが主にやりたいことですね。


(写真=制作中のUNICLEのLINEトーク画面。中谷さん提供)

グランドデザインは新歓だけでは終わらない

(中谷さん)LINEの公式アカウントを運営するのは実は簡単で、無料のやつだったらツールとか限られるのでいろんなこと調べながら、先輩に聞きながら。アンケート調査できたり、セグメントっていって、最初学部とか簡単なプロフィールを登録してもらうんですけど、そしたら今後は、就活とか。理系が欲しい企業とか理系に向いている企業とかがあったら理系だけにメッセージを配信しようみたいな、3回生だけに全員に配信しようみたいなことできるんで。それって企業にしても学生にしても、自分の特性に合ったメッセージが送られてくるので、結構無駄のないことができるんだなって思っています。新入生にとどまらないです。

(聞き手)学生側からもアピールしたい企業やサークル側からも便利なんですね。
(中谷さん)そうですね。とにかくこの事業をやるにあたって、大学だけじゃなくて大学と地域も一緒に活発にしていきたいなと思っているのがあって。飲食店もコロナで傾いているじゃないですか。だから、飲食店も学生に来てほしいと。それだったら、学生に向けたクーポンを発行していただけたら、僕たちが(UNICLEで)配信して。でもそれって大きな店舗が儲かるじゃないですか。それだったらオンラインポイントみたいな感じにして、小さい店舗に行けばポイントが貯まる、その貯めたポイントを大きなお店で使うみたいな。それだと、店舗ごとに合同で共存して活発化するじゃないですか。
大学の周辺が全部が盛り上がって、そして学生がいい気分になるみたいな。そこから、儲けたお金とかで学生に支援していく。この循環をもっと大きく作っていきたいみたいな。僕たちのビジョンですね。

部活・サークル150団体が参加 理系向け就活イベントも計画中

(聞き手)現在、プロジェクトには何団体参加していますか。
(中谷さん)今は150団体くらい。(神戸大では)活動している部活・サークルが全部で193ぐらいあるんですよ。なんで、あとの40は(UNICLEが)有名になってから声がかかっていったらいいなと思うので。目標は全団体です。

(聞き手)進捗状況は?
(中谷さん)今はもう1人、僕の協力者がいるんですけど、とにかくGoogleフォームで団体情報を集めて。それをLINE@にどんどん登録していって。で、企業に今どういうことをやっているか営業してみたいな。もし良かったら何円か払ってクーポン発行してくださいみたいな。
 あとは人材会社の人たちに知り合いがいて、その人たちにこういう事業をやっていて、学生が集まるんで、神大に特化したイベントをやってくださいって。

(聞き手)正式オープンはいつですか。
(中谷さん)そうですね。今、企業を集めていて。で、いろんな学生に向けたプレスリリースとかを書いてやってる段階です。今後は、まずは理系特化の就活イベントの開催を考えています。ゆくゆくは、活動を全国に拡大していきたいと思ってます。

例年通りの新歓ができない悩み レイバンズ

(聞き手)今年のレイバンズの新歓はどのような感じと聞いていますか。
(中谷さん)今年はSNSを他の部活よりやっていて、TiktokとかYouTubeとかインスタとかやっているようで良いんですけど。やっぱりオンラインだけでは難しいなと思っています。

(聞き手)結構苦戦しているようなんですか。
(中谷さん)苦戦していると思いますね。僕たちって、あの芝生のグラウンドにクラブハウスがあるじゃないですか。お昼ご飯とか新入生いっぱい呼んでそこで食べてもいいよっていうのをしてて。結局僕たち有利に進んでいたんですけど、それが無くなってしまうと結構全員がフラットになって結構難しいなって。でも結局新歓ってこうあるべきなのかなって思ったりもしていますね。

(聞き手)レイバンズに今年入部した人はいますか。
(中谷さん)たぶん10人ぐらいはいるんじゃないですか。
(聞き手)経験者ですか。
(中谷さん)たぶんそうですね。
(聞き手)中谷さんは経験者でしたか。
(中谷さん)僕は初心者ですね。サッカーとかやっていたので。入ったきっかけは部活の雰囲気で、新歓中あれだけふざけている先輩が、大きな日本一という高い目標を掲げていて、練習中は真剣とか、授業中も真剣とか、なんか私生活は本当に全員が日本一を目指しているだなと感じとったので。あ、こういう団体ってすごいいいなと思って。自分もこの一員になって高い目標を目指したいと思ったのがきっかけです。
(聞き手)中谷さんの時はどんな新歓イベントに参加されましたか。
(中谷さん)タッチフット大会ですね。それに参加して300人くらい来てて、こんな人集められる部活あるんだなって感じました。
(聞き手)すぐに決めたんですか。
(中谷さん)サッカーかダンスをしようとしていたんですけど、まずアメフトっていう競技にすごい魅力を感じたのとプラスアルファー団体に魅力を感じたので、すぐに入りました。
(聞き手)中谷さんの新歓の時と現在の新歓で何ができて、何ができなくなったんでしょうか。
(中谷さん)とにかくオフラインでのイベントが全部できていないので、なんで自分たちの魅力部活の中の和気あいあいとした雰囲気をこうリアルで感じてもらうことが出来ていない。一方で、SNSとかオンライン上で発信する大切さはみんな学んだのかなって思います。

コロナ渦中の生活は

(聞き手)自粛生活で不便なことはありましたか?
(中谷さん)マスクが嫌いなので、マスクつけなあかんっていう風潮は嫌だなと思ってたのと、あとはお店が夜8時閉店だったので、日曜の帰りだったら(アルバイト先の)淡路島から帰ってきたときどこも空いてなくてごはんが食べられないと。で、マクドとかだったら空いてるんですけど、夜マクドか…って感じだったのでそこは不便でしたね。
(聞き手)そういう時はコンビニとかが多かったですか?
(中谷さん)コンビニ行くよりも、食べないとか、野菜だけ食べるとかしてました。
 夜ご飯は炭水化物を食べない生活してて、朝早起きしてガッツリご飯食べて夜減らしていくっていうふうにしています。それとオンライン授業と筋トレでずっと引きこもってます。
(聞き手)外食はないですか?
(中谷さん)1ヶ月半くらい1回も外で食べてないですね。日曜だけ(アルバイトで)外に出ていますが、月曜から土曜はほぼ外でてないですね。

(聞き手)髪を切るとか服を買うとか、自粛期間で問題ありましたか?
(中谷さん)Amazonでネットで解決しちゃうんです。本屋が閉まってたのも若干痛かったんですけど、Amazon Audibleっていう、聞く本みたいなサービスに入会して。聴きながら作業して、こっちの方がいいやん、聴きながら作業できるやんみたいな。いろんなものに出会えた。(現在住んでいる実家の)茨木で、(地元の人が)「イーバーイーツ」っていうのを始めたんですけど、不便になったら解決してくれる人が現れるんで面白いなって思います。

(聞き手)この期間がプラスになったことも?
(中谷さん)就活でどこかの企業でペコペコするのも嫌いで、(現状が自分に)合っているので正解を見つけられたかなと思います。だからコロナありがとうって感じです。

(聞き手)コロナのせいでできなくなってしまったことはありますか?
(中谷さん)一つは、僕8月にベトナム留学に行こうと思ってたんですけど、それはキャンセルして。友達と遊んだり旅行行ったりできなくなったのはそうなんですけど、でもそんなに大きなことができなくなったことはないですね。
(聞き手)コロナでできたことは?
(中谷さん)ウクレレを始めました。趣味を見つけたということと、あと自分で自分のことについて考える機会が増えたっていう。結局家にいて、就活もしてて自分のこと考えたり勉強する時間が増えてそれはすごい良いなって思いました。

(聞き手)1人で落ち着いて色々向き合える時間が出来た感じですか?
(中谷さん)そうですね。あんまり人と会えなくて寂しくなったりはしなかったんで。(毎日やっている)インスタライブどうやったら人増えるやろうって考えながら作業して、インスタライブしてあんまり人こーへんなって言って喋って、っていう毎日を1ヶ月半送ってましたね。

「僕個人にとっては大きなプラス」 新しいことに取り組む時間ができた

(聞き手)コロナを全体としてプラスに捉えていますかマイナスに捉えてらっしゃいますか?
(中谷さん)飲食店とかもろに打撃を受けているところはマイナスはすごい大きなと思うんですけど、正直どうすることもできないじゃないですか、僕たちは。医療関係の人とかワクチン開発する人でないと文句言ったところでなんもできないと思うので、自分ができることをして誰か1人でも喜ばせないと面白くないなと思っているので。僕個人にとっては大きなプラスでした。世界の経済とかは置いといて僕にとってはプラスな時間だったなと思いました。
 スポーツで活かしてきた部分を活かしつつ社会に向けて経済とかを勉強してもっと自分を大きくしていけたらなと思います。とにかく成長したいと思ってます。

(聞き手)神戸大生へのメッセージをお伺いします。
(中谷さん)全神大生のためにいろんなイベントとかサービスとか考えていこうと思っているので、UNICLEのことを(多くの人に)知ってほしいです。
 あとは、今いろんな変化、就活生だったら企業が採用ストップしちゃうとか、インターンがいけないとか、新入生だったら第2クォーターまでオンラインなのかとか、就活いつから始まるのかとか、いろんな変化っていうのが求められたり変化していったりすると思うんですけど。とにかくその色んな変化から逃げていったりせずに、その変化を自分のものにして対応していく。大学は4年間しかないんで、今日1日を楽しんでほしいな、充実させていってほしいなと思います。

<文:玉井晃平、山本慶典、塚本 光>

【中谷建司 なかたに・けんじ】
 1998年3月生まれ。大阪府立春日丘高校卒。2016年神戸大法学部入学。2019年、神戸大学アメリカンフットボール部レイバンズで主将を務める。同年12月に部を引退後、2020年4月から、公式LINEで神大生を結ぶ新サービス「UNICLE」を制作中。

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