目標額達成も次の目標を設定 「涙で乳がん検出」クラウドファンディング4月16日まで

 神戸大は、「涙で乳がんを検出する研究」への寄付を、クラウドファンディングで受け付けていたが、3月26日までに目標金額の1000万円を突破した。次の目標を1720万円に設定し、1000万円は神戸大での臨床研究に使い、残りの額は他機関への臨床研究拠点の開設や運営に活用するとしている。期間は4月16日(金)23時まで。申し込み案内は https://readyfor.jp/projects/TearExo 。<副田隼矢>


(画像:「涙で乳がんを検出する!研究を加速させる一歩にご支援を」サイトから)

 早期発見できれば90%が治るといわれている乳がん。 しかし年々死亡者数は増加しており、40代~50代女性のがん死亡原因の第1位になっている(2018年国立がん研究センター)。発見遅れの理由は、仕事で忙しい、子育てで忙しい、予約が取りにくい、検査が痛い、などとなっている。

 Tear Exo法とは、涙を採取して最短10分で乳がんを検出する検査法。小さくて薄い短冊状のろ紙片を、目じりに置き、数分目をとじて涙をしみこませる。涙の中に含まれるがんのバイオマーカーであるエクソソームを、高感度かつ迅速に検出できる技術だ。痛みがなく簡便なため、この技術によって現在40%程度に低迷している乳がん検診の受診率向上と、術後の再発リスクの管理を目指している。
 このクラウドファンディングは、1月20日(水)から4月16日(金)23時まで実施。3月中に目標金額の1000万円を突破し、3月29日午前9時現在で735人から1024万5000円が集まった。
 クラウドファンディング実行者の工学研究科応用化学専攻の竹内俊文教授は、次の目標を1720万円に設定し、1000万円は神戸大での臨床研究に使い、残りの額は他機関への臨床研究拠点の開設や運営に活用するとしている。

 義母が乳がん全摘手術を受けたという、竹内教授は、呼びかけのコメントの中で、「治る病気で人が死ぬことに納得がいかない。多くの女性たちが不安に思っていることを実感し、私たちは単にがんを克服するという医療の問題というより一種の社会問題として捉えました」と述べている。
 2021年には臨床研究の規模を拡大し、2022?23年度中に体外診断薬としての認可申請を目指している。


(写真:「涙で乳がん検出」研究のクラウドファンディング実行者、工学研究科応用化学専攻の竹内俊文教授 神戸大サイトから)

 3月26日付で神戸大サイトに掲載された竹内教授のコメントは次の通り。

《第一目標達成の御礼とネクストゴールについて》

本当にありがとうございました。皆様のご厚情に深く感謝いたします。

 当初より達成できるのかと不安になることもありましたが、皆様からの応援コメントやSNSでのコメントに励まされ、何とかここまでたどり着くことができました。
 また沢山の方が私たちのプロジェクトを心待ちにしてくださっていることにも勇気づけられました。身の引き締まる思いで、神戸大学における臨床研究に臨みます。

 臨床研究について医学部の先生と相談を進める中で、多様な患者様にご協力をお願いするために、学外にも拠点を設けることが望ましいとご助言をいただきました。乳がんには様々な形態(病期、サブタイプ、腫瘍サイズなど)が存在し、そのバリエーションとTearExo法の相関を確認するためには臨床研究の間口を広げる必要があるためです。

 目標金額を達成したことを機に、他機関との臨床研究も計画に加えようと思います。すでに、複数の機関から申し出を受けております。
 そこで、ご支援いただいた1000万円は神戸大学での臨床研究のみに使わせていただき、これからのご支援は、他機関への臨床研究拠点の開設や運営に活用させていただきたく考えております。

拠点を1つ増やした時に必要な費用の概算(1年間)は720万円となります。

□オペレ―ションを担当する研究員人件費 450万円
□エクソソームセンシングチップ作製費 50万円
□測定装置の移設・据付調整費 50万円
□試薬類 50万円
□クラウドファンディング手数料、大学事務手数料等 120万円

ネクストゴールを1720万円に設定し、クラウドファンディングのご協力のもと、臨床研究を加速させていただきたいと考えています。3カ月に及んだクラウドファンディングも残すところ3週間ほどとなりました。

ネクストゴールも達成できますよう、引き続きの温かいご支援、応援のほどよろしくお願いいたします。

2020.03.26
神戸大学 竹内俊文

《「涙で乳がんを検出する!研究を加速させる一歩にご支援を」》
●実行者=竹内俊文・神戸大工学研究科教授。
●目標金額=1000万円。
●形式=寄付型/All or Nothing 。
※All or Nothing形式とは、期間内に集まった寄附総額が目標金額に到達した場合にのみ、実行者が支援金を受け取ることができる仕組み。
●公開期間=2021年1月20日(水)~4月16日23時。
●資金使途=Tear Exo法臨床研究費(装置設置費、エクソソームセンシングチップ作製費など)。
●概要=乳がんの早期発見を増やすためには、検診精度と検査方法の改善が必要。40%程度に低迷している乳がん検診の受診率向上と、術後の再発リスクの管理を目指し、涙でがんを検出する「Tear Exo法」の臨床研究を加速させるためクラウドファンディングを通じて支援を募ります。
●案内サイト= https://readyfor.jp/projects/TearExo

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