「コロナ禍でもこれだけできる」 混声合唱団アポロンにインタビュー 

 混声合唱団アポロンは、コロナ禍で対面での活動が大幅に制限される中、部員が集まり直接声を合わせることで一つの音楽を作り上げる合唱団本来の活動ができずにいる。特にオンラインでの活動では新入部員獲得が難しく、部員同士のコミュニケーションも減少してしまったという。「部員に申し訳ない」とやるせなさをにじませながらも、SNSでの動画アップなど、この状況ならではの工夫をして、奮闘している。部長の伊集院和音さん(農・4)と、正指揮者の黒田聖奈さん(法・4)に聞いた。<佐藤ちひろ・塚本光>

コロナで新歓が難航

記者)昨年に続き、コロナ禍で例年通りの新歓ができなくなりましたが、入部者の数はどのように変化しましたか。
黒田)今3、4回生には、だいたい12、3人くらいいて、毎年10人以上入部するのが確実でした。それが今の2回生では、去年は本当にコロナ禍で活動の見通しがつかなかったので、みんなばらばらの時期に1人、2人ずつくらい入ってきてくれて、今は全部で8人います。今年は、意外とwithコロナ感が、新入生の側で強かったというように思っています。入ってくれた子が今年は既に6人(6月16日時点)います。それでも例年と比較すると、Zoom新歓ではもともとアポロンに興味がなかった人にはアピールすることができないため、そこを難しさとして感じています。これが新入部員が半分くらい減っている要因だと考えています。まずは学内知名度を上げていきたいです。


(画像:オンラインでインタビューに答える伊集院さん=左上、黒田さん=左下)

記者)実際に新歓をやってみて難しく感じたところはありますか。
伊集院)去年は特になんですけど、私たちも新入生もZoomというツールに慣れていないというのがまず大きかったです。あとはあまり大人数になってしまうと、会話がなかなかできなくなってしまうことです。そのため、少人数での新歓を行うのですが、そうするとやっぱり雰囲気を感じ取ってもらうことが難しくなります。いつもの新歓だったら、合唱を直に聞いてもらって、その後食事会に行ったりレクリエーションで楽しんだりっていうことができるんですけど、Zoom新歓だとどうしてもしゃべるだけになってしまうので、そのあたりもかなり難しいところかなと思います。

記者)新歓が難しいなかで工夫されていることはありますか。
黒田)少人数でのおしゃべり会や、ゲーム用意するなど、いろいろ工夫をしたんですけど、結局きてくれる人は、アポロンのこととても知りたいと思ってくれてる人が多いということを、去年と今年を通して感じました。今は、アポロンを積極的に探してない人にも情報届ける方法がないか考えています。


(画像:新歓で様々なイベントを開催)

SNSで積極的にアピール

記者)YouTubeやTwitter、Instagramで活発に発信されていますね。
黒田)実はもともとSNSは活発に動かしていて、特に私達が2年生くらいの時に広報の組織を作って、広報には力を入れた方がいいというふうになりました。もともとのきっかけは演奏会の集客で、演奏会情報を広げて、もっとお客さんに来てもらいたいっていう目的がありました。

記者)YouTubeに昨年の定期演奏会の動画を今年の5月ごろアップされていましたが、なぜこのタイミングでアップされたんですか。
伊集院)定期演奏会の録画を公開することは例年行っていて、もともとその次の年の定期演奏会の集客に向けてという面が大きく、秋ごろに公開をしていました。去年、新歓が上手くいかなくなったときに、動画を5、6月あたりに上げる事で新入生に見てもらいたいねという声が高まって、その流れで今年もこの時期に動画を上げて、多くの人に見てもらおうということになりました。


(画像:アポロンのYouTubeチャンネルのスクリーンショット)

全員で合わせて歌うことが困難に

記者)コロナで練習状況はどのように変化しましたか。
伊集院)去年の2月あたりに大学側から活動をしないようにという通達が来て、その後、5月ぐらいまではもう完全に何もしていませんでした。ただ、このままじゃ駄目なんじゃないかという話になって、オンラインでの活動を始め、夏、8月末くらいから対面で実際に会って歌うことができるようになりました。今までは普通に集まって歌っていたのが、マスクをして、その上からフェイスシールドをした状態で、人と人の間を結構ちゃんと間隔を取って、公民館の定員もしっかり調べて定員の12分の1以下の人数で使用するとかいうところまで気を配っての練習になりましたね。
黒田)以前は練習の前後とかにワイワイ話をしたり、部活動のその日の反省を行ったりっていう時間があったんですけど、それが消毒や検温の時間に取られたりしてしまいました。あと、他大学の学生が参加できないことはアポロンも結構あおりを喰らいまして、特に今の3回生は、結構他大学から来てくれている子が多いので、その子たちが練習に来られなくなるっていうことがありました。
記者)今はオンラインで練習されているのですか。
伊集院)そうですね、今は全面的に活動を止められているので、オンラインになっています(6月16日時点)。タイムラグとかは仕方がないので、みんなと合わせて歌うことはもうしてないんですよね。各自が音源に合わせて歌っているパートもあると思います。


(写真:感染対策をしたうえでの対面練習。2021年4月、西宮市立鳴尾東公民館で)

十分な活動ができずやるせない

記者)今、活動が制限されているなか、お二人がどのような気持ちなのか、教えてください。
伊集院)去年一年間例年通りの活動ができなくて、できるようになったと思ったら他大生が来られなくなったりしてっていう状態で今年が始まって、演奏の機会も今の時点でかなり減ってしまっていて、仕方ないことなのかもしれないですけど。ちょっと団員には申し訳ないなっていうのが私の中ではあります。去年入ってくれた人は一度もやってない行事とかもいっぱいありますし、それが今年はできるかもねっていう期待が結構大きい中で始まったので、その中で、結局制限がかかってしまって、行事らしい行事も、今年は結局何もまだできていない。申し訳ないしちょっとやるせないっていうのが大きいです。
黒田)私もすごい合唱好きで、演奏会を成功させることっていうのは本当に大好きで頑張りたいと思うんですけど、なんか人間それだけじゃやっていけないときもあるよな、といいますか。私は団員が仲良くなることによって、プラスの効果が働くと思っているんですけど、演奏機会がないと、人と関わる機会もなくて、合宿で一緒に泊まるっていうこともできなくて、かなり残念ですね。大学生生活最後の合宿ができないのかなっていうのが残念です。12月の定期演奏会でしっかり終えることができたら、まだちょっと気持ちが救われるかなっていうところがあります。なので、私達こそ感染対策に気をつけて、年末の定期演奏会をやりたいなっていうのが、一番の願いですね。

マスクを外して歌いたい

記者)コロナが落ち着いたら一番したいことは何ですか。
黒田)マスクを外して歌いたいっていうのはもう本当に思いますね。一応、昨年12月の定期演奏会のときに、かなり広いホールでマスク外してたんですけど、やっぱり全然違うんですよね。その、響き、自分の声が響くのもそうですし、相手の声もとても聞こえるし、息吸うのも楽だしみたいな。本当にマスクつけて歌っているときは、足かせつけて走ってるみたいな状態です。外すと本当に爽快感があるので、マスクを外して歌えるようになったら、嬉しいなって思います。
伊集院)私は寝泊まりの行事がしたいですね。1日中寝食を共にするっていうのは、すごい記憶に残るし、相手のことを深く知ることにもなるし、そういう行事だと思うので。後は、コロナが落ち着いて、卒業旅行行ければいいな、くらいの感じですね。

  ○  ○  ○  ○  ○

 今回は、コロナ禍ということもあって、京都大医学部合唱団メディカルコール、香港・Diocesan Choral Societyとともに、一緒に合唱した「オンラインで合同演奏会」を8月14日から順次YouTubeで公開する。

▼ジョイントコンサート YouTubeチャンネル「Joint Concert~Apollon, Erde, Medical Choir, DCS~」= https://youtube.com/channel/UCKMvvHJTaWAP94OeokIH2Wg

 エルデ副指揮者の海老春香さん(国人・3)は、「緊急事態宣言下では部員が集まって歌うことすらままならない時もありました。ですが、離れていても繋がることはできる。今こそ歌の力で希望を届けたい」と意気込む。
 アポロン部長の伊集院和音さん(農・4)は、「歌っていて、聴いていて前向きな気持ちになれるようにと思って選曲しました。コロナ禍でもこれだけのことができるよという想いが大きいです」と合唱にかけた思いを語っている。

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