震災から28年をむかえた1月17日。今年も神戸大六甲台第1キャンパスの慰霊碑で神戸大の震災慰霊献花式が行われた。式典への参列は、新型コロナウイルス感染対策のため、神戸大役員と遺族に3年連続で限定された。式典終了後に、一般の人も献花を行った。<本多真幸>
神戸大周辺では明け方から好天が続き、ぬくぬくとした陽光が差し込んでいた。六甲台第1キャンパスで行われている3月下旬までの大規模工事の影響で、慰霊碑付近は狭くなっていた。
開始時刻の12時30分に参列者は1分間の黙祷を捧げた。初めに藤澤正人学長が花束を慰霊碑に献花し、続いて、理事ら大学幹部が白い菊の花を慰霊碑に供えた。その後、参列した遺族が花を捧げた。
式典終了後は一般市民や学生も献花を行った。現役の学生や大学教員などが、亡くなった神戸大の学生や職員を偲んだ。コロナ禍前と比べれば依然として少ないものの、献花に訪れる人の数は年々増えている。式典終了後2,3時間が経過しても献花に訪れる人が見られた。
藤澤学長はニュースネットの取材に対し、「震災があったことを若い人にも知ってもらわないといけない、来年も献花式は行う。大学も次の世代に伝えていくようにしっかりと考えていく。」と語った。
【藤澤正人学長のコメント】
—――どんな気持ちで献花したか。
震災から28年たった。献花式で、当時病院で当直していたことを思い出しながら、28年経ったのだと感じた。震災当日の朝は、被災して運ばれてきた人の手術をした。そのうち病院では水が足りなくなった。その後は重傷者がたくさん運ばれてきて、昼ごろまで大変だった。亡くなった学生は夢を叶えることができず残念だと思う。生きていれば今は50歳前後で、社会で活躍していた。大学や神戸が住みやすい環境になることが必要だと思う。
—――今の学生が関心を持つには
震災は、語り継いでいくことが大切。次の世代に認識してもらう必要がある。
—――災害対策について、大学としての取り組みは。
大学としては、都市安全研究センターなどで研究を行い、テクノロジーを用いた防災や減災に取り組んでいる。南海トラフもいつ起こるかわからない。
—――献花式は来年もやるのか。
震災があったことを若い人にも知ってもらわないといけない。献花式自体も存在を知ってもらわないといけない。他人事だとは思わず、普段から取り組む必要があり、大学も次の世代に伝えていくようにしっかりと考えていく。
1995年(平成7年)1月17日午前5時46分に発生した兵庫県南部地震で、神戸大では、学生39人(うち留学生7人)、職員2人と、名誉教授1人、生協職員2人が犠牲になった。海洋政策科学部の前身の神戸商船大では、学生5人、研究員1人が亡くなった。六甲台第1キャンパスの慰霊碑は震災の翌年3月に建てられ、その後、毎年慰霊碑前で献花式が行われている。
了
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