１２月１７日に、神戸大学応援団総部による第２回「翔鷹祭」が行われた。第６３代団員の引退公演に相応しく、応援団は迫力ある応援をステージ上で披露した。田代団長はコロナウイルスの流行という苦難に直面し、「応援」というものへの考え方が変化したことを語った。＜尾畑陽貴＞

　１２月１７日に神戸市長田区文化センター別館ピフレホールで、神戸大学応援団総部応援団による第２回「翔鷹祭」が開催された。応援団の復活以来２度目の開催となる今回の公演は、田代浩也（法・４）はじめとする第６３代団員の引退公演でもある。応援団はこれまでの活動の集大成として、部活応援や行事の場で何度も歌い続け、舞い続けてきた応援歌、演舞をステージ上で披露した。

　公演は２部構成で、前半部では応援歌「燃ゆる思い」「栄光は常に我らに」や神戸大の学生歌「この丘陵に」が迫力ある演舞とともに披露された。

（写真：演舞を披露する応援団　２０２３年１２月１７日、１４時ごろ　神戸市長田区文化センター別館ピフレホールで）

　後半部では「神戸大学ウルトラマンソング」や寮歌「白波寄する」などの伝統歌が歌われた。さらに、毎年恒例になりつつある、団員の知られざる秘密を暴露するエピソードトークや吹奏楽部や応援団チアによる単独ステージといった催しが用意されており、会場を盛り上げた。

（写真：応援団チアのパフォーマンス）

　第２回翔鷹祭の副題は、「～雲外蒼天、ともに天翔けん～」。雲外蒼天とは「困難を乗り越えた先には必ず明るい未来がある」という意味の四字熟語。現４年生は新型コロナウィルスの流行という困難に直面した世代。これから先にどんな困難が立ちはだかっても、必ずみんなが未来に羽ばたいていけるように、という思いからこの副題が付けられたという。

　後半部も終盤に近付くなか、田代団長がステージ上で今一度挨拶をする。

（写真：応援団総部の田代団長）

　「我々６３代といたしましては、様々な方々との結びつきを深めることを第一に掲げ、合計１５の団体様に応援に行かせて頂きました。彼らの選手人生を賭けて戦う姿、想いを前面に出して戦う姿を応援という形で後押しできたことは喜び以外の何物でもございません。他大学の応援団とも切磋琢磨しあえる環境にあったことも実感しております。

　しかし、私の４年間を振り返らせていただくと、私は４年前からこのような順風満帆な応援団生活を送れたわけではありませんでした。新型コロナウィルスの影響で、『応援』と称しても声を出せず、音源を流すばかり。しかし、練習では、『もっと声を出せ』と先輩から怒られる。私はそうした厳しい練習にもかかわらず本番では声を出せないことに強い矛盾を抱えておりました。

　一体、『人を応援する』とはどういうことなのでしょうか。応援が無くても試合は成立する。応援が無くても勝ち負けは決まる。では一体、応援が存在する意味とは何なのか。私は、応援とは『願い』であり人間が持つ感情の中で最も熱く、大切な感情だと考えるようになりました。」と、田代団長は応援団生活の中で直面した苦渋の体験を通じて「応援」というものに対する考え方が変化したことを語っている。

　アンコールに応えて応援団が「燃ゆる思い」を再演した際には、観客一同も周りの人と肩を組みながら応援歌を一緒に歌った。

（写真：肩を組んで歌う観客一同）

以下は田代団長のコメント。

聞き手）応援団生活を終えた率直な感想を教えてください。
田代団長）「終わったな」ではなく、「やりきったな」という達成感で満たされている感じです。最後のステージは幹部全員がやりたいこと、そして下回生が好きなことも全部詰め込んだものでした。
そうしたまさに「６３代の集大成」を全面に表現したステージで引退できることは、本当に皆様への感謝と満足感で言葉になりません。

聞き手）応援団を支えて来られた方や、関係者の方々に何か伝えたいことはありますか？
田代団長）この４年間、弊団が応援活動に専念できたのはひとえに、OBOGの皆様、体育会の皆様、他大学応援部・応援団の皆様、大学職員の皆様等多くの方々にご支援・ご協力いただいたおかげでございます。改めて６３代を代表して、厚く御礼申し上げます。第６４代となる後輩達も、益々応援活動に邁進していくと信じておりますので、引き継ぎご厚情賜りますよう何卒よろしくお願い致します。

聞き手）最後に、後輩へのメッセージをお願いします。
田代団長）後輩達には自分達が「楽しい！」と感じることを何よりも大切にしてもらいたいです。応援団が先頭に立って楽しむからこそ、他の方々を巻き込んで活動することができます。この６３代の１年間で彼らは間違いなくそれを感じていると思うので、６４代ではさらにその輪を大きく、太くしてくれることに期待しています！

了