震災慰霊献花式に学長参列せず 「出張で欠席」1997年以来初めて

 1月17日に行われた震災29年の震災慰霊献花式に藤澤正人学長は出張のため参列せず、代わりに木戸良明副学長が献花した。学長が参列しなかったのは、慰霊碑が建てられ献花式が始まった1997年以来初めて。総務課は、「国大協の会議のため、やむを得なかった」と話しているが、遺族の一人は、「少し悲しい。29年も経つと、1月17日が大切な日と思うことが薄れるのか」と話した。<ニュースネット取材班><ニュースネット取材班>

(献花式で慰霊碑に花束を供える木戸副学長。2024年1月17日12時半ごろ撮影。六甲台第1キャンパスで)

  六甲台本館前の「兵庫県南部地震神戸大学犠牲者慰霊碑」前で、慰霊の献花式が1月17日12時半から行われた。藤澤学長は出張のため参列せず、木戸良明副学長が参列し最初の献花をした。

 神戸大学総務課はニュースネットの取材に対し、「国立大学協会の会議のため出張している。今日の出張は一年前から決まっていて、やむを得なかった」と話している。

 国大協のサイトには、同日、総会が行われたことが公表されていて、「災害対応のため欠席した金沢大学長からのメッセージが読み上げられたほか、近隣の大学から被害状況について報告があった」と記されている。

 ニュースネットの記事や、各メディアの報道を確認すると、学長が参列しなかったのは、慰霊碑が建てられ献花式が始まった1997年以来初めて。

 遺族の一人は、「何か事情があったんだろうと思ったが、それはちょっと悲しい。大学主催なら、学長さんには出席しなければという気持ちになってほしい。29年も経つと、1月17日が大切な日と思うことが薄れるのかなと思う」と話した。

 別の遺族は、「残念ではあるけれど、30年近くも式を続けてもらって、(学長に)出席してほしいというのは遺族のわがままなのかもしれない。神戸大学は発信力のあるところなので、(1月17日を大事に思う)気持ちがあった方が良いとは思う」と戸惑いがちに語った。

 「今の学長は神戸大卒で、大学愛が深いと聞いている。なにか手違いがあったのか」と、式のライブ配信を見ていたという卒業生の一人は驚く。「緊急の会議でなかったのなら、日程や時間の調整ができただろう。たとえば東北の大学の学長が、3.11の会議をずらしてほしいともしアピールしたら、ほかの多くの大学は理解するのではないか。『1.17は神戸にとって大事な日』と周囲のスタッフも認識して、しっかり学長をサポートしてほしい」とコメントした。

《震災慰霊献花式に参列した歴代学長》

1996年 慰霊碑除幕(3月15日)西塚泰美学長が参列
1997年 西塚泰美 全学に正午の黙とうを呼びかけ
1998年 西塚泰美
1999年 西塚泰美
2000年 西塚泰美 震災5年
2001年 西塚泰美
2002年 野上智行
2003年 野上智行
2004年 野上智行
2005年 野上智行 震災10年
2006年 野上智行
2007年 野上智行 深江キャンパスで慰霊碑除幕式
2008年 野上智行
2009年 野上智行
2010年 福田秀樹 震災15年
2011年 福田秀樹
2012年 福田秀樹
2013年 福田秀樹 故・森渉さんの姉・祐理さんが献歌
2014年 福田秀樹
2015年 福田秀樹 震災20年 遺族のメッセージ読み上げ、アポロンが献歌
2016年 武田 廣
2017年 武田 廣
2018年 武田 廣
2019年 武田 廣
2020年 武田 廣 震災25年 学長がメッセージ、エルデが献歌
2021年 武田 廣
2022年 藤澤正人
2023年 藤澤正人
2024年 参列なし 木戸良明副学長が献花

《震災慰霊献花式での歴代学長コメント》

1998年 西塚泰美学長「3年経った今も、いろんな意味で当時を思い返す。最初の1年はいろんなことがありすぎて記憶がないみたいです」。

2000年 西塚学長「大学は試練の時に立たされている。亡くなった学生のためにも、次の世紀につなげていきたい」。

2001年 退官直前の西塚学長は、学長が代わっても、21世紀になっても、献花式は続けますかとの質問に、学長は「うんそうだね」とうなずいた。

2003年 野上智行学長「亡くなった方へのせめてもの務めとして、神戸大を世界一流の大学にすると誓った」。

2004年 野上学長「昨年、神戸大は神戸商船大との統合などさまざまなことがあった。犠牲者の方には、神戸大が世界で一流の大学を目指すと報告した」。

2005年 野上学長「震災10年目を迎えて改めて神戸大としての責務を強く感じました。先輩達の分も新しい時代を開けるように。そのために良い大学を作ろう」。

2006年 一昨年スマトラ沖地震に襲われたバンダアチェにあるシャクアラ大学のアブディ・A・ワハブ学長らも参列。野上学長は「正直なところ悲しみは消えない。(このような学術交流を通して)自然災害のメカニズムを追求することが、亡くなった方々への神戸大学の責任」と被災地の大学としての使命を神妙な面持ちで語った。

2008年 野上学長「減災に関する取り組みを行っていき、神戸大が様々な研究にチャレンジし、発展すること(が大切)」。

2009年 今年度で現職を任期満了する野上学長は、「自分としては全力で(慰霊事業を)やったつもりだが、亡くなった人の思いに応えられただろうか」。

2010年 福田秀樹学長「神戸大もたくさんの人が亡くなり、大学の歴史として忘れられない。ご冥福をお祈りしています」。

2011年 震災当時の学長・鈴木正裕さんも参列。

2012年 福田学長「今年で17年たつが当時のことがよみがえる。(今年度は)東日本大震災があり、オーバーラップして、きのう起こったことのような気になる。(神戸大は)40名を超える学生・教職員が亡くなった。やすらかに、という気持ち」。

2018年 武田廣学長「震災(の記憶)が風化していく中で、式典を続けていくことは大事」。

2020年 武田学長「慰霊碑に込められた精神をそして銘板に刻まれた『友よ、神戸大学を、そして世界を見続けてほしい』という言葉に込められた思いを改めて心にとどめ、今後も教職員、学生にしっかりと語り続けていきたいと考えております」。

2021年 武田学長「(コロナ)対策をとりながら行うことができた。献花式は来年も行う。放っておくと、風化してしまうからだ。コロナのような感染症(の大流行)も100年前に同じことが起きている。(歴史上何があったかを)伝えていくことは大切だ」。

2022年 藤澤正人学長「献花式を行うことで1人でも多くの人に震災を心にとどめておくことができる」。

2023年 藤澤学長「震災があったことを若い人にも知ってもらわないといけない。献花式自体も存在を知ってもらわないといけない。他人事だとは思わず、普段から取り組む必要があり、大学も次の世代に伝えていくようにしっかりと考えていく」。

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