【コラム伏流水】備えあれば

 6月の大阪府北部を震源とする最大震度6強の地震。7月の西日本豪雨。9月には非常に強い勢力で上陸した台風21号が近畿地方を中心に被害をもたらし、その2日後には北海道胆振東部地震が起こるなど、平成最後だった昨年の夏は大規模な災害が相次いだ。

 阪神・淡路大震災後に大阪で生まれ育った私が災害の威力を実感したのは大阪府北部地震が初めてだった。地震発生時、私は大学へ向かうため電車に乗っていた。走行中の車内にいたせいか揺れは感じられず、携帯電話の緊急速報で地震の発生を知った。乗っていた電車は次の駅まで徐行して停車し、運転を見合わせた。電車が再び動き始めたのは地震発生から約7時間後だった。

 電車の運転再開を私は駅のホームで待った。通学中に何時間も電車が止まるなんて考えたこともなかったから、電車以外の帰宅手段は知らない。路線バスは調べようにもアクセスが集中していてウェブサイトを開くことすらかなわない。電車が動いているところまで徒歩で移動しようかとも考えたが、いつまた地震が起こるか分からない中、知らない街を歩く勇気はなかった。

 災害は自分の身に降りかかるかもしれない。分かっていたつもりだったが対策の甘さを感じた。

 改元時、令和の時代は災害のない時代になってほしいという発言をよく聞いた。しかし自然発生する災害をなくすことはできない。だからこそ被害を最小限にする備えが必要なのだ。

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