【7月号掲載】トイレ紙で健康管理 巻き取り方で個人識別

 工学研究科塚本昌彦教授の研究室を今春卒業した倉橋真也さんが、トイレットペーパーを巻き取るときの芯の回転から個人を識別する研究を発表した。

 トイレ使用時に個人を識別する技術は、便器にセンサーを組み込み使用者の生体情報を集める「スマートトイレ」で、使用者の健康状態の把握に利用できる可能性がある。

 学内のトイレで、トイレットペーパーの芯の形をしたデバイスに角速度センサーを組み込んで実験。巻き取りにかかる時間、紙の長さ、巻き取り時の速さの最大値、平均値、分散値の5種類のデータを収集した。

 トイレの使用を伴わず、被験者一人あたり20回紙を巻き取る「実験室環境」と、実際に1カ月間トイレを使う「現実的環境」の二つの環境で実験。5人の中から1人を識別する平均精度は実験室環境で83・9%、現実的環境では69・2%に上った。

 「タッチパネルやボタン入力で個人を識別するのが一般的だが、毎回入力するのは面倒。紙の巻き取り時のデータを使うことで簡単に識別できる」と倉橋さんは話した。

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