新米蜂の団結力見せる はちの巣座新人公演「八月のシャハラザード」

演劇研究会はちの巣座は15日、尼崎ピッコロシアター(兵庫県尼崎市)で、新人公演「八月のシャハラザード」(作・高橋いさを、脚色/演出・高梨糸)を行った。会場は学外の公演にも関わらず満員となり、観客は今年入部した新人9人の演技に見入った。【8月16日 神戸大NEWS NET=UNN】

脚本は、様々な劇団でも上演されている有名なコメディもの。貧乏劇団の役者、天宮亮太の突然の死から物語は始まる。一時は夕凪と名乗る案内人に連れられ、あの世へ向かう船「シャハラザード号」に乗せられそうになるが、恋人のひとみに会おうとたびたび夕凪から逃走する亮太。逃亡先で偶然出くわしたのは、仲間に裏切られ瀕死の状態になった重罪人、川本五郎だった。ひとみへの想いを伝えたい亮太。裏切られた仲間への復讐を誓う川本。シャハラザード号乗船までの、2人のドタバタな復讐と惜別の劇が、軽妙なテンポで展開されてゆく。

主役の天宮亮太役を演じた小野紘平さん(医・1年)は、物体に触れない「幽霊」の立ち振る舞いを見事に演じきった。「幽霊というからには透明だし、何も触っちゃいけない。でも僕は当然触ることができてしまうから、役作りは大変でした」と練習を振り返った。テスト期間である7月末の段階で、午前9時から午後9時の練習「9時9時練」が始まり、学業との両立も難しかったという。そんな中、小野さんは公演後「大きなトラブルはなかったし、9人で一致団結していた。やりきれました」と振り返り、満足そうな笑顔を見せた。

昨年の新人公演も行われ、演劇でよく使用されているシアター300は、今年夏から改修工事で使用不可。それを受け、はちの巣座の新人たちも、初舞台がいきなりの学外となった。「学外だから実際にそこを使って練習する機会が少なかった。けがをしないか心配だった」と話したのは、脚色・演出を担当した河内麻美さん(文・2年)。初舞台を迎える1年生を見てはらはらしたというが、新人たちの演技には「涙が出そうでした。保護者のような気持ちでした」と感動をあらわにした。また、違った目線から芝居を見てみたいと、担当に立候補したという河内さんだが「役者だと自分のセリフしか注視しないから、広く芝居が見れてよかったです」と、自らの成長にもつながったようだった。

はちの巣座の新人公演は、18日の午後5時から、今度は慣れ親しんだ学内の出光佐三記念六甲台講堂に舞台を移し、再び上演される。

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