いよいよ8月30日と目前に迫る衆議院議員選挙。朝早くから街頭に立ち演説する候補者やテレビ番組に出演しマニフェストについて議論する専門家など、世間は選挙ムード一色だ。では学生にとって選挙とはどのようなものだろうか。選挙分析や政治意識について研究する法学部の品田裕教授に話を聞いた。【8月26日 神戸大NEWS NET=UNN】
○最近の神戸大生の選挙についての意識
近年、若年層の選挙離れが叫ばれているが、神戸大生にとって選挙とはどのようなものだろうか。品田教授は「ちゃんと関心を持って参加しようと思ってる人とあることは知ってるけどかかわっていない人がいる」と分析。それらの比率は「5対5か4対6」だという。
また「20代はいつの時代も政治とのかかわりが少ない」と教授は話すが「その少ない中でも(最近)減っている」とも感じているという。
社会に出ると、会社や取引先との関係や結婚、子育てなどを経験することになる。その経験や知識の増加により、人々は選挙に参加するようになる。学生の間は投票に行く必要性を感じることが少ないのかもしれない。
○学生が投票に行きたくなるような選挙とは?
このように日常生活の中で学生には縁遠いとも思える選挙。では、どのような選挙が学生にとって足を運びやすいものだろうか。
品田教授は「わかりやすい選挙」だと話す。この「わかりやすさ」とは争点のこと。郵政選挙と呼ばれた前回の衆議院選挙が記憶に新しいが、このように明確な争点が打ち出された選挙であれば、学生が投票に行きやすい。
逆に争点が細かくなると、学生など若年層は選挙に参加しにくくなるという。
とすれば、今回の衆議院議員選挙の争点のひとつは「政権交代」と非常に明確なものである。品田教授も「今回自民党(政権)をひっくり返すことに意義を感じ、それ自体が目的になると若い人たちがみんな行くと思う」と予想する。
だが、政権交代以外は大きな争点はない。4年前の小泉純一郎元首相のように、「投票したい」と思えるような政治家も特には見つからない。そのため、政権交代という争点がどれ程浮き彫りになるか、が若年層の投票率上昇の鍵になるというのが教授の分析だ。
○学生にとって選挙に参加するメリットとは?
学生が選挙に参加することによって得られるメリットについては「そもそも少ない。だから(選挙に)行かない」と話す品田教授。確かに、目に見えて得られるメリットは少ない。ただ、「世の中のことを知ってやろうとするいいチャンスぐらいに思ってたらいいんじゃないか」と学生に向けて話した。
○「小さな楽しみ」を見つけて参加しよう
目に見えるメリットが少ないとすれば、学生はどのように選挙に参加するのか。品田教授は「(選挙に参加することで)小さな楽しみを見つけよう」と話す。教授の言う小さな楽しみとはまず、変な時間に投票所に行ってみること。朝早く投票所に行くとか夜遅く行くのが変な時間だという。そうすれば投票箱を最初に開けたり、最後に閉めたりする儀式の立会人になれるのだ。
また2つ目として「出口調査に出会うこと」を選挙の楽しみにあげた教授。出口調査は自分から受けることはできないが、投票にやって来た有権者の中から運よく選ばれば貴重な経験になるだろう。その他にも投票所でどのような人が働いているのか観察したり、投票用紙を観察したりするのもおもしろい。選挙の「小さな楽しみ」には様々なことがあげられるのだ。
選挙と聞くと難しい感じもするが、最初はこのような小さな楽しみを探しに「投票所に行ってみよう」という気持ちで参加してみてはどうだろうか。
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