神戸大医学研究科修士課程2年の松下麻衣さん(バイオメディカル専攻)が、ノーベル財団が後援しているストックホルム国際青年科学セミナー(SIYSS)に神戸大から初めて派遣された。同セミナーは12月4日から11日(現地時間)まで実施され、16カ国23人から若手研究者が参加。ノーベル賞授賞式や晩さん会などに出席し、世界各国の研究者と交流を深めた。【1月21日 神戸大NEWS NET=UNN】?
ストックホルム国際青年科学セミナー(SIYSS)とはノーベル財団が後援として、世界各国の若手技術者・研究者が参加するセミナーで、毎年ノーベル賞授賞式に合わせて実施される。18歳から25歳までの大学・大学院生を対象に、日本からは財団法人国際科学技術財団(JSTF)が全国の各大学(海外への日本人留学生、国内の外国人留学生含む)から1人ずつ推薦者を募集。その中から毎年2人(平成6年は派遣せず)を同セミナーへ派遣し、昭和62年から延べ44人の学生が参加している。
松下さんの派遣は、神戸大にとって初の派遣となる。「たまたま学務課の掲示板を見ておもしろそうだと思った。まさか私が」と選ばれたことに驚いたという。現在の同じ研究室のメンバーがセミナーに参加していたことも応募への後押しとなった。2次選考に残った7人の中から、面接、小論文などの選考過程を経て、テキサス大学の萬井知康さんとともに選ばれた。
セミナーは12月4日から1週間催され、ノーベル賞授賞式のほか、参加者自身の研究発表や受賞者の講演、記者会見にも参加した。受賞者も参加する晩さん会やランチレセプション、スウェーデンの文化を体験するイベントも行われ、世界各国の研究者と交流を深めた。ノーベル財団主催のレセプションでは「小林・益川理論」でノーベル物理学賞を受賞した、高エネルギー加速器研究機構の小林誠特別栄誉教授や京産大の益川敏英教授らと話し、記念撮影も行った。益川教授からは「どんなに苦労をしても自分の信念をつらぬけ」という言葉をもらったという。「どんな分野であれ、自分の研究に進みたい人にとっては得るものは大きいと思う」と松下さん。自分自身のモチベーションを高め、他分野の研究者と触れ合うことで視野も広がった。将来、研究職を目指す松下さんにとって、大きな刺激となった。?
アメリカで過ごした大学時代は理学を専攻。免疫学を研究した。アメリカの大学では一般的に、日本の大学の理系学部のように研究室に入室しないため、3年生の時に自ら教授に志願し免疫学の研究室に入った。研究のかたわら、ボランティア活動にも参加。議長も務めた。小児がん研究の募金活動に関わったことで、「研究を通してより多くの人を救うことができるんじゃないか」。現在研究しているガン制御遺伝子の機能解析の分野に進むきっかけとなった。「人の役に立つ研究をして多くの人を救いたい」(松下さん)。将来のノーベル賞候補は笑顔を見せながらも、強いまなざしで語った。
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