今季リーグを5位で終え、世代交代を迎えた神戸大アメリカンフットボール部レイバンズ。新チームの注目選手は、今季の攻撃陣を支えたWR大園とTE東内の1年生コンビ。初シーズンを終えた彼らが、今季の戦いから何を感じたのかを2回に分けて追う。第1回は大園樹(おおぞのひろき=発達・1)にせまった。【12月25日 神戸大NEWS NET=UNN】
▽飛び抜けた存在に
「思っていた以上に通用した。パワーやスピードは劣るところもあったが、そこを補 えばもっといける」。全試合にスターターとして出場し、捕球49回は2位に倍近い差をつけ堂々のリーグトップ。ベストイレブンにも選出され、優秀攻撃賞まで受賞した。鮮烈デビューを果たし、大園は今季の自分自身を振り返る。 ルーキーながらの大活躍について、「(賞などの実感は)自分でもよくわからない」としながらも、「出るからには(1年生であることは)考えていない。神戸大学の代表だから。自分が結果を残すことがチームの貢献につながる」と冷静に答える。「これからマークは厳しくなるけど、それに負けないようにしないと。もっとスピードをつけて、チームから信頼されるプレーヤー、(リーグでも)飛び抜けた存在になりたい」。さらなる飛躍も誓った。
▽100パーセントの力を
その一方で、話題が今季のチーム成績に移ると表情が曇る。30点近くの大差で敗れた立命戦や関学戦について、「(試合は)負けたけど、異常な差があるとは思えない。実力としてはそんなに負けていない」と分析したが、「(高校まで)ずっと強いチームにいたから、これだけの点差で負けたことが無い。僕が一番、と言えるほど本当に悔しかった」と試合後の胸のうちを明かす。「(強豪私立大に)簡単に負けるのは悔しい。設備もすごいけれど、それを言い訳にはできない」。感情を抑え、淡々と話した。
これからの戦いに向けて、「競った試合に勝てるかが重要。(今年は)シーソーゲームで勝てなかった。でもチームが100パーセントの力を出せれば、どこにでも勝てる可能性はある」と話す。来季の開幕相手は今季接戦で敗れた4位の関大。その戦いに注目が集まる。
▽やっぱり勝たなきゃ
世代交代を迎えて、「今シーズンは僕や(同じ1年の)東内が結果を残したので、これからは精神的な面でも僕たちがひっぱっていかなければ」と、新チームへの責任も感じている。東内には「ライバルというよりも、いてくれて心強い仲間。今いるレシーバーの中なら一番」と厚い信頼。「他の1年生にも高い運動能力を持つ選手が多い。チームでもっと高いレベルを目指していかないと」。新生レイバンズへの期待は大きい。
12月17日に行われた甲子園ボウルはチームで観戦した。「実際に見に行って、(甲子園に)出たいという思いがまた強くなった。洗練されたプレーもだけど、やっぱり観客の量や雰囲気が全然違う。観客がいると燃えてくる。あそこでプレーがするのは小学校からの夢」。熱い思いのあとには、「勝ちに対する強い気持ちをもっていきたい。(同じ国立大の)京大が日本一になれたのだから自分たちもなれる」と、これからともに戦う仲間に向け言葉を残した。「やっぱりアメフットは勝たなきゃ」。今季抱いた思いは、この一言に詰まっていた。
目指すは「完璧なレシーバー」。責任感を加えた若き神戸大エースは、これからもさらなる進化を遂げる。
(聞き手=塚本京平、西田健悟、濱田直毅、山本晃弘)
【写真下】本人も納得の立命戦でのパスキャッチ。(9月17日・王子スタジアムで 撮影=森田篤)
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