「日本人の心とカウンセリング」と題した河合隼雄・文化庁長官の講演会が3月8日、六甲ホールで行われた。会場には約350人が集まり、河合長官の講演に耳を傾けた。【3月8日 神戸大学NEWS NET=UNN】
河合長官は日本におけるカウンセリングとカウンセラーの役割について思春期と中年期に分けて講演を行った。
思春期に関しては、伝統的な日本人の考え方である「家」という考え方と戦後、欧米から導入された「個人」という考え方が関係しているとした。さらに日本では戦後、欧米から「個人」という考え方が導入されたものの、伝統的な「家制度」は根強く存続していると講演。「思春期に『個人』としてどう生きていくのかを悩む人は『個人』に関しては伝統的な考え方に立つ人たちに相談できない。そこで、カウンセラーが必要となってくる」とした。
また、中年期に関しては、40代や50代の働き盛りの男性に自殺者が増えていることを紹介。自殺を防ぐためにカウンセラーは、患者と一緒に悩み生き甲斐を見つける助けを行うとした。
「思春期であれ中年期であれ、『個人』で悩むときにカウンセリングとカウンセラーが必要になってくる」と河合長官。最後に「『個人』という考え方と伝統的な『家』という考え方が同居している日本において、カウンセリングが必要になってきている」と締めた。
友達に誘われて講演を聞きに来たという経済学部の学生は「1冊だけ読んだことのある(河合長官の)本と、同じことを言っていた。(河合長官の)考え方の中でもかなり重要な話なのかなと思った、はっきりと理解できたわけではないけど」と頭をかいた。
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