1月17日に阪神・淡路大震災の慰霊献花式が行われた。神戸大学ニュースネット委員会は、参列者がどのような思いで献花式や1.17を過ごしているのか、話をきいた。前編では、震災で亡くなった神戸大生の遺族と友人や知人のコメントを紹介する。後編では、大学教職員や一般市民のコメントを掲載する。<ニュースネット取材班>
(写真:遺族の集合写真 撮影:久保田一輝)
震災で亡くなった神戸大生の遺族・友人
▽都築和子さん
当時法学部4年 故・櫻井英二さん<愛媛県立八幡浜高卒/ユースサイクリング部>の姉。
「JR六甲道からのんびりと歩いてきた。お正月に地震があったが、歩きながら、私みたいに悲しい思いをした人がたくさんいるんじゃないかなということを(英二さんに)報告した。そういう残された人も力強く生きて欲しい。去年はインパクトのあることはなかったが、平凡に過ごしてきた。平凡に過ごせるのも(英二さんが)見守ってくれているおかげ。ありがとう」
(写真:献花する都築さん)
▽戸梶幸夫さん(76歳)
当時経営学部4年 故・戸梶道夫さん<大阪府立三国ヶ丘高卒/バドミントン部>の父。
「29年も経ったんだなと信じられない気持ちで、最近のことのように思える。遺族の方も高齢になり、遠方から来ていた人も多いので、会えない人が増えた」
▽戸梶栄子さん(74歳)
当時経営学部4年 故・戸梶道夫さん<大阪府立三国ヶ丘高卒/バドミントン部>の母。
「(震災からの時の流れが)早いな、という感じ。29年間、近い場所(大阪)に住んでいるので毎年来ている。今年は人が多く来ていて、懐かしい方とも出会ってよかった。去年では少なかったので、少し寂しかった。学生の方もいて、正月の北陸での地震をきっかけに、意識を持った方もいたのかなと」
(写真:石碑に刻まれた名前を見つめる戸梶さん夫婦)
▽藤原宏美さん
当時経営学部4年 故・藤原信宏さん<三重県立津高校>の父。
「もう29年経ったのかという感じ。長男を亡くしてから親の面倒を見てくれる人がいないのが辛い。孫がいる人を見るとうらやましいし、いてくれたらうれしい。そんな気持ちで毎年始まる。震災という事実を知っているのと、実際に経験するのには大きな違いがあると思う。当時を知る人も高齢になってしまい、この日に顔を合わせる人も減ってしまった」
(写真:ニュースネット記者のインタビューを受ける藤原さん)
▽藤原美佐子さん
故・藤原信弘さんの母。
「息子に会いに来たな、会いに来れたな、という気持ち。震災から29年、私たちもいい年。名前をなぞって、『お母さん、お父さんも元気にしてるからね。見守っていてくださいね』と声をかけた」
▽坂本秀夫さん(78歳)
当時工学部3年の坂本竜一さん<兵庫県立八鹿高卒>の父親。
「息子は住んでいた建物が倒壊し、火事に巻き込まれた。能登半島地震で建物火災に巻き込まれたというニュースを見ていると、『息子とおんなじやな』と思う。自分も78才となり、慰霊碑に来る他の遺族も高齢化している。(神戸大の学生には)同じ大学の学生、教職員が亡くなっているのにそのことを知らないのはやはり冷たいのではないかと思う(と伝えたい)」
(写真:石碑の前で手をあわせる坂本さん)
▽森尚江さん(87歳)
当時法学部4年 故・森渉さん<大阪府立泉陽高卒/軽音楽部>の母親。
「遺族の方たちが50代前後だったのが、70代、80代になっていくのに月日を感じる。時が経つにつれていやされ、悲しみも薄れていくが、1月1日の能登半島地震の光景を見て、自分の悲しみが思い起こされた。渉の下宿先の大家さんである末吉種子さんとは、今日のように1年に1回会って渉の話をする」
(写真:献花する森さん)
▽国司和丸さん
当時経済学部4年 故・高見秀樹さん<鳥取県立米子東高卒/応援団>の1期後輩、第36代応援団長。
「何か特別な思いを持って来たというわけではなく、命日なので、お墓参りのような感覚で毎年来ている」
▽安永倫子さん
当時経済学部4年 故・高見秀樹さん<応援団>の後輩
「頑張って生きてきましたよ、みたいなことを先輩に報告するような気持ちで来ている。留学生の友達とかも亡くなっている。だから、いま神戸大学で勉強している方は、日々できることを一生懸命やってほしい。そういう悲しいことがあって、できなかった人もいるので……」
▽安永好花さん(24)
安永倫子さんの娘
「震災を直接は経験していないけど、母から色々な話を聞いているので、毎年来れるときは来ようという気持ちで来ている」
(写真:並んで献花する国司さん<左>、安永好花さん<中央>、安永倫子さん<右>)
▽越山健治さん(51歳)
当時経営学部4年 故・戸梶道夫さん<バドミントン部>の先輩。
現在は関大社会安全学部の教授。
「京都から来た。毎年来ている。去年は寒かったが、今年は暖かくて良かった」
(写真:ニュースネット記者のインタビューを受ける越山さん)
▽上野政志さん
当時発達科学部2年 故・上野志乃さん<兵庫県立龍野高卒/マンドリン部>の父親。
「(神戸大で行われる献花式は)つながりを明らかにする場所。神戸に来る機会がほとんどないから、こういう会があったら来させてもらうような意識にはなっている。神戸大学の知り合いと話をする機会になる。(来年は震災から30年だが)節目というのは当事者は関係ない。節目というのは第三者的な考え方だと思う。もう29年経ったのかという気持ち」
(写真:インタビューに答える上野さん)
▽加藤りつ子さん
当時法学部2年 故・加藤貴光さん<広島県立安古市高卒/ISA国際学生協会所属>の母親。
「慰霊碑が初めて建ったときの、建立除幕式を思い出しながら花を供えた。長い年月が経ち、慰霊碑の文字にも年季が入った。本当は(亡くなった息子は)今年50歳なのに、大学がいちばん最近の記憶。いちばん憧れて入った大学だから、ここに眠るのがいいのかもしれないな」
(写真:インタビューに答える加藤さん)
▽坂口真咲さん
当時工学部自然科学研究科博士前期課程1年 故・今英人さん<石川県立泉丘高卒/軟式庭球同好会、スキー同好会、湧源クラブ所属>の妹
「今年も来られたな、という気持ち。震災から29年だけれど、そんなに日が経った気がしない」
(写真:インタビューに答える坂口さん)
(笠本菜々美・奥田百合子・尾畑陽貴・川﨑成真・蔦旺太朗・村上愛純・本多真幸・島袋舜也・久保田一輝・大坪千成・宮原裕)
了
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