遺族の17年

心の拠り所消える 上野政志さん

 上野さんは、阪神・淡路大震災で当時2年生だった娘の志乃さんを失った。志乃さんを忘れたくない、その思いから志乃さんが亡くなったアパート跡に地主の許可を受け、ほこらを建てた。上野さんは3つの地蔵が鎮座するそのほこらを「三地蔵の箱」と名付け、神戸に来る際には必ず訪れていた。また、普段から震災のモニュメントの一つとしてお参りに来ている人もいたという。

 だが、一昨年の12月に、地主から道路拡張のため「箱」の撤去を言い渡された。それを受け上野さんは、「箱」の上に置いていた御影石を加工し、昨年1月から慰霊碑として設置。アパート跡にできた駐車場に置かせてもらう許可を受けた。これまでと変わらず毎月慰霊碑を訪れていた上野さんだったが、昨年8月17日、いつものように駐車場に訪れると、慰霊碑はなくなり、「石」があった場所は住宅の新築工事が始まっていた。

 あまりに突然の出来事だった。「誰かが故意に取っていったのか、工事の際に間違えて撤去されてし まったのかさえわからない」。現在、新聞やメディアの協力を得て情報提供を募っているが、未だ有力な情報は得られないままだ。

 今の神戸には、震災を直接経験したことのない人も多い。上野さんは、神戸の地に寂しさを感じるという。経験しなければ気持ちは分からない、と上野さんは繰り返す。「経験した者にしかわからないことはたくさんある。代弁者になってでも伝わることがあれば」。その思いで、これまでにも自らが経験した震災や佐用町の水害に通じた講演を行ってきた。

 上野さんの心の拠り所でもあった慰霊碑。今はただ「石」が戻ってくることを願っている。

 毎年1月17日の震災が起きた時間を志乃さんの「箱」と共に過ごしてきた。今年は「箱」も「石」もなく震災の日を迎える。



大学の17年

神戸大に問う 震災の教訓は今に生かされているのか

 神戸大は阪神淡路大震災によって大きな被害を受けた。あれから17年が経ち、建物や様子は震災の影も形も残っていないように感じる。だが、それだけで本当に復興したといえるのだろうか。また、今後神戸で災害が起こった時にどう対応するのか。神戸大が災害に対して強い大学になっているのか。阪神淡路大震災で起こったことを踏まえながら今の神戸大の防災対策、そして防災意識について検討する。

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学生の17年

学生ボランティアを考える

 昨年3月11日に発生した東日本大震災から10ヶ月。神戸大の学生の中にも、様々な形でボランティアを続ける人がいる。そして、阪神・淡路大震災から17年。ニュースネットでは、ボランティア支援室コーディネーターの藤室玲治さんから、当時の経験とボランティアの意義を伺い、同時に現在の学生ボランティアにその心中を聞いた。


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