1995年1月17日に起きた阪神大震災では、6,400人を超える命が失われました。
私たちの目の前から去っていったこれらの人々のことを、単なる数字の集積として終わらせないこと…、そうすることが、私たちが生きていくうえで最も大切な何かを知ることにつながるのではないかと考えます。
本書は、震災現場に居合わせた筆者が、震災報道のアナウンサーとして、また一市民として、目撃したこと、感じたことを率直に綴り、人の命の尊さを訴えているものです。
災害は私たちに何をもたらすのか。そのとき、人の暮らしはどうなるのか。そして、愛する人の命が失われるという厳しい現実。阪神、神戸、淡路の街が直面した事実を、なるべくそのまま伝えようと試みたブックレットです。
(新版ではデータや社会情勢の記述などが改訂されています)
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ここでは、まだ本を読んでいない方のために、内容の一部を紹介します。
第1章 突然の激震
第2章 日常から非日常への切り替え
第3章 亡くなった人たちを記憶にとどめる
第4章 助かった命 失われた命
第5章 命を救うネットワークづくり
第6章 語り継ぐこと
第7章 危機管理意識をもっておこう
第8章 心の傷を乗り越えて
第9章 震災のあと社会はどう変わったか ■NEW■
第10章 修学旅行・校外学習で震災を学ぼう ■NEW■
第11章 調べたことを社会に発信しよう ■NEW■
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【新版】(2011年4月 学びリンク刊)では、『震災のあと社会はどう変わったか』『修学旅行・校外学習で震災を学ぼう』『調べたことを社会に発信しよう』の約10ページを新たに加筆しました。
【増補版第6刷】(2009年3月刊)では、改正「被災者再建支援法」の概要などを加え、8カ所を改定しました。
【増補版第5刷】(2006年10月刊)では、震災10年目の新しいデータなどが加わり、30数カ所を改定しました。
【増補版】(2003年9月1日 一橋出版刊)では、「神戸修学旅行マップ」、「震災後社会はどう変わったか」、「読者の声」、「活用例」などが加わりました。
●みなさんからの感想文をsinsai@kobe-u.comでお待ちしています。
●副教材ブックレット『語り継ぎたい。命の尊さ〜阪神淡路大震災ノート』【新版】は、A5判119ページの冊子(学びリンク社・定価1000円 税別)です。神戸、大阪、東京などの主要書店、防災関連センターのショップに配本されています。
アマゾン等のネット書店でも購入できます。くわしくはお近くの書店でおたずねになるか、学びリンク株式会社ホームページ をご覧ください。著者とのコラボレーションをお考えの方は、sinsai@kobe-u.comあておたずねください。
第1章 突然の激震
1995年1月17日午前5時46分。成人の日と振り替え休日の連休があけようとしていたその瞬間、地下から、巨大な揺れが襲ってきた。淡路島北端から阪神間の一帯は、数十秒の激しい揺れで、その風景が一変した。死者6430人。負傷者4万3773人。全壊した住宅は約10万4900棟(自治省消防庁)。小学校などの避難所には、神戸市内だけで最高時23万6899人(1995年1月24日)が身を寄せ、被災生活をしいられることになった。
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第2章 日常から非日常への切り替え
家々は崩れ、鉄筋のマンションやビルも傾き、町のあちらこちらから火の手が上がる。被災地の真ん中では、救援活動に取りかかる人がいる一方で、あまりの被害に呆然とたたずむ人、そして、そんな非日常を目の当たりにしながらも、なお、学校や会社へ向かおうと、いつもどおりの生活を続けようとする人々がいた。人間は異常な災害に直面しても、なかなか受け入れられないことがある。日常から非日常へのスイッチに迷う人々も多かった。
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第3章 亡くなった人たちを記憶にとどめる
神戸市灘区六甲町2丁目の西尾荘では、3人の神戸大学の学生が亡くなった。地震直後に付近の商店街から出火して、倒壊した下宿に閉じ込められた学生たちが命を落としたのだ。友人たちが助けようとしたが、火の回りが早く、救出できなかった。
「炎上する西尾荘。友を助けられなかった……」
井口克己さん(朝日新聞社勤務/当時・神戸大三年)の証言
西尾荘で亡くなった中村公治さん(当時・神戸大三年)への追悼手記
西尾荘で亡くなった坂本竜一さん(当時・神戸大三年)への追悼手記
西尾荘で亡くなった鈴木伸弘さん(当時・神戸大三年)への追悼手記
人の死がどのように訪れたのかを記憶にとどめることは重要なことだ。どんな場合にも、「いまここに危機に瀕している人がいるのではないか」という想像力を持つことができるから。そして、救援の手を差しのべられるからだ。
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第4章 助かった命 失われた命
阪神大震災では、道路一本隔てた右側は壊滅的で、左側は無傷、ということが起こった。数メートルで、いや数センチで生と死が分かれた。
隣家の蔵が倒れてきて亡くなった白木健介さん(当時・神戸大三年)への追悼手記
煙突が下宿に倒れてきて亡くなった高橋幹弥さん(当時・神戸大二年)への追悼手記
幸いにも命が助かった人が、次になすべきことは何か。それは、死の淵をさまよっている人へ、救援の手をさしのべることだ。命を救うという執念を持ち続け、叫び続けることだ。
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第5章 命を救うネットワークづくり
激震の恐怖にさらされ、家屋が倒壊し、火の手が迫り、水や、電気、ガスが途絶したなかでは、あなたはまわりの人々と運命を共にすることになる。 そのときから、あなたは、より弱い立場の人々を救出したり、消火活動に奔走したり、水くみや炊き出しの重要な要員になる。もし、あなたやあなたの家族がケガをして動けなくなったら、今度は、隣近所の人の力を借りなくてはならなくなる。 学校、地域、職場、親戚……。人の絆があなたを救い、人のネットワークがあなたを求めている。
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第6章 語り継ぐこと
「地下鉄サリン事件」のテレビ中継現場で、ヒロシマのラジオ取材で、様々な壁にぶつかる。
そして、筆者は訴える。大切なのは、人がなぜここで死んだのか、という冷厳な事実を知ることではないか。そして、それを心にとどめ、私たちが新たな困難に直面したとき、人の命を守るために、その経験を生かすということではないかと。
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第7章 危機管理意識をもっておこう
駅で、人が倒れていたら、あなたはどうするか。
ちょっと気にとめる人たちはいても、だれも立ち止まらない。
年輩の男性。あなたのお父さんぐらいの年で、仰向けになっている。酔っぱらっているのか。心臓発作や、脳こうそくか。助けようかどうしようか、あなたは、迷う。
いざというとき、どうすればよいのか。後で悔いが残らないようにするにはどうすればよいか。
地震の直後の、1月17日のテレビの映像をふりかえりながら点検する。
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第8章 心の傷を乗り越えて
阪神大震災では、多くの街の風景が消えて、かけがえのない命もそこで失われた。その場に立ちあった多くの人々の心に傷を残し、三年が過ぎた。
心の穴を埋めるために、一人一人がささやかな努力を積み重ねている。その人々の声に耳を傾けると、何が聞こえてくるだろうか。
もっとできることはなかったか。神戸の街のために、何ができたのか。あの日に帰れるのなら……。込み上げる慚愧の念と、震災に向き合うことで折り合いをつける筆者の思いがつづられる。
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第9章 阪神大震災のあと社会はどう変わったか
この本の初版を1999年に刊行したあと、いろいろな場で阪神大震災から学ぼうという取り組みが始まった。
被災地では震災を語り継ごうという市民の動きがある。教育の現場では、修学旅行で神戸に行く学校が増えてきた。通信や行政の分野では工夫や改善の動きが続いている。
具体的には、住宅の再建、補強をどうするか。被害予想などの情報の公開、次の災害に備えて「減災」という考え方。「防災力」を身につけるにはどうしたらよいか。などだ。
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第10章 修学旅行・校外学習で震災を学ぼう
神戸、阪神、淡路地区の、震災学習のための資料館、図書館などを写真付きで紹介。全国の防災センター一覧も掲載。神戸への修学旅行を行った中学校の実例も紹介。
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第11章 調べたことを社会に発信しよう
国語科の読み聞かせの学習から、防災総合学習に発展させた高校の事例や、各地の中高生、大学生が取り組んだ阪神淡路大震災[写真調べ学習]プロジェクトの概要を紹介。
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【神戸大学の震災の記録を読む】
忘れたらあかん!! 阪神大震災
【震災の資料を調べる】
震災文庫 検索のページ(神戸大学附属図書館)
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