このブックレットを利用して……
『語り継ぎたい。命の尊さ〜阪神淡路大震災ノート』を
授業や研修に使用したみなさんの事例から
ブックレット『語り継ぎたい。命の尊さ〜阪神大震災ノート』は、A5判119ページの冊子(学びリンク刊・住田功一著・定価1000円税別)です。学校向けの副教材として制作されたため、平易な言葉で書かれていて、写真も新聞・通信・放送各社の提供写真など計49点と多用されています。
小学校・中学校・高校などの総合学習、国語科、社会科などの授業に取り入れられたり、
防災教育や総合教育などの資料にしたり、
神戸への修学旅行や校外学習のテキストにしたり、
会社の研修や、地域のグループ・消防署・大学生の講演会に利用したり
と、いろいろな場面で活用されています。参考にしていただければ幸いです。
ご質問やご要望はメールで。みなさんからの利用例のリポートもお待ちしています
《電子メール》 sinsai@kobe-u.com
[ブックレットの利用例]
■《小学校》「震災とメディア」の公開授業で(神戸大発達科学部附属住吉小学校)
■《小学校》父母と児童の防災講演会に(日本女子大附属豊明小学校)
■《中学校》学習旅行でトークセッション(岩手・大東町立大東中学校)
■《中学校》災害におけるライフスキル学習で(新潟・新津市立新津第五中学校)
■《中学校》神戸への校外学習の事前資料に(奈良・奈良市立伏見中学校)
■《中学校》神戸への修学旅行のまとめ資料に(東京・稲城市立稲城第六中学校)
■《中学校》文化祭の構成詩・劇の素材として(熊本・熊本市立桜木中学校)
■《高校》神戸・淡路への修学旅行 事前学習で著者を招く(東京都立東大和南高校)
■《高校》総合学習でHP制作 国語科のテキストから発展(神奈川県立西湘高校)
■《高校》読者と著者のトークセッション(神奈川県内ほか)
■《大学》新入生歓迎イベントで(神戸女学院大学、神戸大学)
■《地域と高校》県の防災講座で高校生と著者のパネル討論会(静岡県東部県行政センター)=NEW=
■《企業》火災予防協会の事業者自主防災講演会で(横浜市火災予防協会)
■《地域》主婦サークル防災講演会で(神奈川県小田原市ほか)
■《地域》『防災まちづくり講座』の企画立案の基本資料に(大阪府豊中市)
【制作】 神戸大学ニュースネット委員会
神戸大学ニュースネット委員会OB会
グループスプラッシュ
・阪神大震災ノート『語り継ぎたい。命の尊さ』のあらすじへ。
・ブックレットの入手法/著者とのトークセッションについて。
・「阪神大震災を調べる!!」ホームページで関連教材を探す。
・阪神大震災ノート『語り継ぎたい。命の尊さ』のホームページに戻る。
■《小学校》「震災とメディア」の公開授業で
2000年11月4日、神戸大学発達科学部附属住吉小学校のチームが、「震災と報道」をテーマに総合学習の公開授業を行い、神戸大OBでもあるブックレットの著者が教壇に立ちました。
公開授業の主催は神戸大学発達科学部の「震災と防災」カリキュラム研究会。土井捷三教授研究室のメンバーと、附属小学校の教諭がチームを組んで、昨年度から阪神大震災を教育にどう生かすかをテーマに取り組んできたものです。
ブックレットを直接とりあげたものではありませんが、これを読んだ土井教授らが、メディアの現場にいる著者を公開授業に招くことを考えました。
一時限目は附属住吉小学校の先生の授業を行った上で、著者の公開授業が行われました。ビデオを見て、当時のことをまず思い出して、テレビの制作される過程のガイダンスをして、著者自身の体験をブックレットなどから紹介して、議論に入りました。
五年生の児童たちは、「どうして被災した人たちを助けずにカメラをまわしたのか」といった鋭い疑問で迫り、著者は自らの経験をもとに応えました。
事前に、先生方と打ち合わせをし、一週間前には児童たちとも顔合わせをしました。報道の立場を著者ひとりですべてを代弁しきれないので、「あくまで個人的な意見だけどね」と断って議論を進めました。そしてもっとも難しかったのは、震災で心の傷を持っている、被災地の子供との接し方でした。
●「『震災と報道』をテーマにした総合学習」神戸大附属住吉小を参照。
▽このブックレットには、報道写真が多用されているほか、放送の時系列の記録、放送の送り手の心境などが盛り込まれています。「災害とメディア」などのテーマで、情報教育のサブテキストにも利用されています。
・この『ブックレットを利用して……』トップに戻る。
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■《小学校》父母と児童の防災講演会に
2000年11月20日に、日本女子大学附属豊明小学校(東京・文京区)の父母の会「豊明会」の災害対策委員会の講演会に、ブックレットの著者が招かれました。講堂には、父母と4年、5年、6年生の児童、あわせて400人が集まりました。
学校の行き帰りに大きな災害になったらどうするの? 親が迎えに行けない事態になったらどうする? ということを投げかけたり、阪神大震災でも多くの子供達が大人を助けて給水車の行列に並んだりしたことを例に、「子供でもできることからしよう」とよびかけたりしました。
感想文は、「なみだがあふれてとまらなくなりました」、「もっとやりたいことがあったのに……」、「人が死んでいくのはやだ」、「自分だけの力でもがんばり助けを待つ」、「絶対にあきらめない」、「『心のじゅんび』をしないと」、「子どもにもできることがたくさんある」、「いざとなったら自分がたよりになるかもしれない」など、小学生ならではのメッセージが寄せられました。これらは、ブックレット読者のホームページに掲載されています。
▽事前に、主催者とていねいな打ち合わせをしました。そして、大人と小学生という組み合わせのため、児童にもわかりやすい語りにしました。講堂でも使えるビデオプロジェクターで、ビデオを一緒にみてから、ブックレットの朗読をしました。小学生でも中学年になると、充分感受性が高く、辛いことや悲しいことの追体験から学べるようです。講演後に父母や児童にアンケートをとり、感想メッセージを書いてもらいました。
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■《中学校》学習旅行でトークセッション
岩手県の大東町立大東中学校では、2002年4月の学習旅行で東京方面を訪れた際、ブックレット『語り継ぎたい。命の尊さ〜阪神大震災ノート』の著者、本の編集者との交流学習「トークセッション」を行いました。
学習旅行の前には、事前学習に丁寧に取り組みました。
▼学年の先生方でブックレットを読む
▼著者住田功一さん、編集者井上裕子さんとの打ち合わせ(東京)
▼全体説明。ブックレットと著者を紹介するプリントを配布。
▼2月6日(水) 事前学習1 ビデオ視聴(1時間)
「激震の記録 〜失われたあの時、あの場所〜 映像で語り継ぐ阪神・淡路大震災」
(企画・制作・著作 朝日放送、発売元 ビクター)
▼2月13日(水)事前学習2 ビデオ視聴(1時間)
「人間復興 〜阪神・淡路大震災が問うもの〜」
(企画・制作 全国労働組合総連、阪神・淡路大震災救援復興兵庫県民会議
制作協力 日本電波ニュース社)
▼2月19日(火)事前学習3 読書(1時間)
『語り継ぎたい。命の尊さ〜阪神大震災ノート』の読書。
初めて生徒全員にブックレットを配り、一人一人のペースで
読んだ所までの「感想」を書き綴ってもらう。
▼2月25日(月)〜3月7日(木) 朝自習で読書(15分間読書、6日間)
読書カードを作成し、その日読んだ所と、印象に残った所の一言感想をメモ。
▼3月6日(水) 事前学習中間まとめ「事前交流」(1時間)
事前学習のまとめとして、著者、編集者へ手紙(挨拶状)。
手紙は、全員分4月中旬に送付した。
▼4月11日(水) トークセッション準備(1時間)
感想を発表する人、質問する人、意見発表をする人をそれぞれ班ごとに決めた。
▼4月18日(木) 事前学習4 ビデオ視聴(1時間)
「震災から7年」(TBS系「ニュース23」1月17日放送)
今年1月17日、神戸の人たちはどのような気持ちでその日を迎えたか、
7年の間にどのような人の動きがあったのか、今の神戸が見えてくるもの。
「今の神戸の人達の思いを大切にしながら、多くのことを学んでこよう」と締めくくる。
▼4月22日(月) 学習旅行初日 トークセッション(2時間)
ブックレット『語り継ぎたい。命の尊さ』の著者、編集者の掛け合いトークで進行。
何人かの生徒が質問をする。
トークセッションの後は、昼食タイム、交流タイム。
▼4月下旬
旅行から帰ってきた翌日すぐ、著者、編集者への手紙を全員が書いた。
▼5月 NHKスペシャル「“まち”はよみがえるか−神戸・長田区御蔵通−」視聴
今年1月17日に放送されたものを2時間扱いで取り上げた。
学習旅行で阪神大震災の学習を完結させることなく、
また違う角度からの学習に取り組んだ。テーマは「人と人とのつながり」。
担当した古里康彦教諭(社会科)は、「生徒たちは、命の尊さについて、真剣に考えるようになり、言葉だけでない、行動も変わっていくような学習となった」と話しています。また、「現代社会に生きる今の生徒は、ある意味では昔の生徒以上に多くのことを感じ取ることができる力を持っているということも発見できた。願いを持って、生徒にかかわっていけば、生徒は必ずよい方向に変わっていくと思う」と感想をのべています。
同校は、翌年2003年4月は、首都圏に「疎開」した阪神大震災被災者の会『関東のじぎくの会』のメンバーと交流会をもつなど、取り組みを続けています。
●「学習旅行〜阪神大震災事前学習の資料づくり」岩手・大東町立大東中を参照。
▽2003年度の学習旅行では、やはりブックレット『語り継ぎたい。命の尊さ〜阪神大震災ノート』をテキストに半年間勉強したあと、東京を訪ねました。今度は、首都圏に移り住んだ被災者の「関東のじぎく会」の語り部のみなさんと交流会をしました。
▽大東中のある岩手県は2003年5月26日6時24分すぎに、「三陸南地震」(マグニチュード7.0、震源は宮城県沖)にみまわれました。大東町大原で震度5弱の揺れでした。
ちょうど夕方の部活動の最中でした。大東町摺沢での被害は町内の他地区よりより大きく、古里教諭によると「体育館の壁や天井がくずれおちるなど、あわや大惨事になる所でした。現場にいた先生の話によると、震災の学習をしていた生徒たちの中には、冷静な行動をとる子供たちも多く、震災学習をしていて本当に良かったという話をしておりました」とのことです。
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■《中学校》災害におけるライフスキル学習で
新潟県新津市立新津第五中学校の山田高広先生は、インターネットの検索でこのホームページを知り、ブックレットを入手しました。
「道徳」の時間を利用して、災害におけるライフスキル学習をしたなかで、「大地震が来たら助かるかどうかは偶然でしかない」、「大声で助けを求めることが大事」という部分の説明でこのブックレットを利用しました。
「ライフスキル」というのは、10数年前にWHOが健康教育の方針として打ち出したものです。WHOでは「個々人が日常生活において起こる要求や難題に対してうまく対処できるように、適応的、積極的に行動するための能力」と定義しています。
具体的には、筆者・住田アナの震災体験を生徒に読んで聞かせ、「誰か来てーっ」と叫び続ける女性(第4章「助かった命 失われた命」、28ページ)のところはコピーして配布しました。
山田先生は、TOSS=教育技術の法則化運動=に参加しています(TOSSのホームページはhttp://www.tossland.net/)。「全国の教師が授業を追試できるように、いろいろな授業案や資料をインターネットコンテンツにしていきたい」と話しています。災害におけるライフスキルについても、ホームページ化して、多くの学校で利用できるようにしたいとのことです。
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■《中学校》神戸への校外学習の事前資料に
奈良市立伏見中学校では、1999年秋に2年生260人が校外学習(特別学習)で神戸に行きました。その事前学習にこのブックレットを利用しました。
学級副担任の森ともみ先生は、このブックレットをホームページで知りました。日がせまっていたので著者へメールして入手。校外学習の前に、担当の先生が抜粋のコピーを2年生に「読み聞かせ」しました。
森先生は、「データや写真の本は他にいろいろあったけれど、震災の現場の様子や、神戸の人の気持ちが伝えられる本を探していました」といいます。「生徒には、数字だけじゃわからないですよね」。
下宿で被災して亡くなった大学生のエピソード(第三章 亡くなった人たちを記憶にとどめる)をいくつか紹介。
神戸に近い奈良という土地柄、生徒達は地震の日の揺れは覚えていた(当時小学校3年、奈良市は震度4)ものの、歳月がたっていたこともあり、「こんなに近いのに、こんな事も知らなかったんだ、と生徒達はあらためて衝撃を受けたようです」(森先生)。
参考資料欄も活用して、掲載されていた新聞記事をさがして生徒達にコピーを配付しました。
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■《中学校》神戸への修学旅行のまとめ資料に
東京の稲城市立稲城第六中学校では、2000年の3年生の修学旅行の行き先に神戸を選びました。
NHKの震災5年後特集番組のビデオを見て学習。訪れた神戸では、フェニックスプラザで退職した元校長先生から地震直後の状況を聞きました。震災時の避難所(学校)での様子、特に中学生がどんな様子だったとか、その場にいた人にしかわからないことを語ってもらいました。
そして、修学旅行のまとめとして、このブックレット『語り継ぎたい。命の尊さ〜阪神大震災ノート』を社会科担当の石村繁樹教諭が、朗読しました。石村先生は、「何度も声をつまらせてしまうほど、言葉では言い表せない感情が湧いてきます。表紙の高校生の写真も衝撃的です」と感想を述べています。
同校では、自分たちの体験を語り継ごうと、ホームページで調べたり、身近は地域での防災体制を調査したりと、少しずつ総合学習への試行をひろげていきつつあるといいます。石村先生は、「神戸での出来事とその後の神戸の人々を知った者には、自然と人に伝えたくなる使命感が湧いてきます。本当に風化させてはいけないのだと感じます」とも話しています。
▽修学旅行や校外学習の、事前テキストや、総括の資料にこのブックレットを利用する学校があるようです。先生の事前資料の参考に、生徒のまとめ教材にと利用法はさまざまです。みなさんからの利用例のリポートがありましたら、 sinsai@kobe-u.comまでお願いします。
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阪神大震災ノート『語り継ぎたい。命の尊さ』のホームページへ。
「阪神大震災を調べる!!」ホームページで、語り部や関連教材を探す。
■《中学校》文化祭の構成詩・劇の素材として
熊本市立桜木中学校では二〇〇一年の修学旅行で、二年生が関西方面に行くことになりました。
これまで広島や沖縄で平和学習をしてきた同校は、今回のテーマに阪神大震災を選びました。震災を通して、命について、生きることについて、先生や生徒たちが一緒に学ぼうということになったのです。
まず、前年(一年時)の二〇〇〇年十一月の文化発表会で、学年全員二百十三人が『いのち、愛のメッセージ』という構成詩・劇を上演しました。
台本には多くの実話を引用しました。本を読んだり、ビデオを見たり、インターネットで検索したりとたくさんの情報を集める中で、副教材ブックレット「語り継ぎたい。命の尊さ〜阪神大震災ノート」も入手し、オリジナルの台本を製作し取り組みました。1年生担当の武田先生が忘れられなかったのが、西尾荘での話だったといいます。
構成詩・劇には、震災の渦中でおきたさまざまなシーンが盛り込まれていますが、台本を担当した吉良先生は、「語り継ぎたい。命の尊さ」にもでてくる西尾荘でのできごとも加えました。
武田先生は、「自分たちだけで学ぶだけでなく、情報発信という形でウェブページに掲載し、命を学ぶ取り組みの輪を広げていきたい」と考えました。
熊本市立桜木中学校文化発表会’2000で上演された、1年生構成詩・劇『いのち、愛のメッセージ』は、四月にネット上にアップされました。
二〇〇一年の十二月には、修学旅行で神戸の地に立ち、セレモニーを実施したいと計画しています。
▽構成詩・劇『いのち、愛のメッセージ』
http://take-me.hp.infoseek.co.jp/tenga/inoti&ai/inoti&ai.htm
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■《高校》神戸・淡路への修学旅行 事前学習で著者を招く
東京都立東大和南高校は、2003年度の2年生の修学旅行で淡路島・神戸・関西地域を訪ねました。
その事前学習で、ブックレット『語り継ぎたい。命の尊さ〜阪神大震災ノート』の著者を学校に招き、講演会を開きました。
10月7日から10日までの3泊4日の日程。初日は新幹線で新神戸着、そのまま淡路の震災記念公園、鳴門海峡を訪れ島内泊。2日目は徳島、淡路、兵庫エリアと「人と防災未来センター」を訪ね、甲子園のホテル泊。3日目は関西全域班別行動、最終日は大阪のUSJを含む大阪エリア班別行動で、新幹線で帰京というスケジュールでした。
講演会は、旅行の4か月前の6月7日(土)に体育館で行いまた。
講師の、激震に揺さぶられた体験、被災地をヒッチハイクで取材にまわった経験、そして、人の死に向き合う心を聞きました。
前週に、ブックレットを読んで「感想」、「著者に質問したいこと」を書いて、旅行委員会がとりまとめて、講演会にのぞみました。
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■《高校》総合学習でHP制作 国語科のテキストから発展
神奈川県立西湘高校では、国語科の授業でこのブックレットをとりあげたのをきっかけに、防災訓練にあわせた講演会、文化祭発表、ホームページでの情報発信へと総合学習に発展しました。
2000年2月、「命の大切さを生徒にわかってもらいたい」と感じていた国語科担当の立花先生が、1年生と3年生の授業で、ブックレットの抜き刷りをプリントにして配りました。授業のテーマは「表現」という項目で、自分の気持ちをどうあらわすかがテーマです。
感想文を書いてもらったところ、全員が提出してくれたのに、先生は驚きました。「ふだんは書くことが苦手な子までグングン書いてあった」と立花先生。平易な文章ながら新鮮なタッチのノンフィクション、現場を伝える写真やデータ。心を動かす事実と直面したことが、生徒に文章を書かせたのではないかということです。
6月17日、西湘高校の防災訓練にあわせて、全校生徒を前に、ブックレットの著者のNHKアナウンサー・住田功一さんが講演。
そのあと、別室で、希望する生徒約10人と先生9人とが参加し「トークセッション」。そのなかで、「自分達が怪我をしたのでは、災害が起きたときの力になれない」、「いつも心掛けておく防災の備えは何?」という質問がでました。
「身のまわりの防災マニュアルを点検しよう」「みんなで小田原にマッチした防災マニュアルをつくろう」と、次の展開につながったのです。
さっそく、新聞委員会のスタッフや有志が集まって、「防災取材班」を結成。文化祭発表、校内新聞の特集として掲載、ホームページでの情報発信へと総合学習に発展しました。
西湘高校が約9か月にわたってとりくんだ、地震防災をテーマにした「総合学習(調べ学習)」の記録は「総合学習『命の大切さ、考えよう』のとりくみ」ホームページをみてください。
なお、生徒たちのつくったホームページ『もいちどチェックだ! 防災マニュアル』は、2001年3月、第7回「ぼくの街 わたしの村 マイタウンマップコンクール」(主催=財団法人情報処理教育研修助成財団マイタウンマップコンクール実行委員会、後援=文部科学省ほか)で産経新聞社社長賞を受賞しました
▽このブックレットは、もともと社会科の副教材として出版されました。しかし、今回のように国語科の授業で採用されたり、あるいは理科のホームページリンク集に紹介されたり、命の大切さを考える「調べ学習」や「総合学習」のベースになったりすることで、いろいろな可能性があることを教えられました。
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■《高校》読者と著者のトークセッション
ブックレットを利用するもっとも簡単な形式として、読者と著者とのトークセッションがあります。
1999年12月には、このブックレットを読んだ神奈川県内の高校生たちとブックレットの著者のNHKアナウンサー・住田功一さんが、トークセッションを行いました。このときは、学校行事とは関係なく、集まった生徒たちの学校もバラバラでした。生徒を子にもつ主婦グループがボランティアで開催しました。
内容についての質問や、「自分達の地域で地震がおきたらどうなるんだろう」、「高校生でも震災時には役に立つことがあるんだろうか」などフリーなトークで理解を深めました。
▽こじんまりとした会議室などで、人数は10人以下がベストな環境です。お茶とお菓子でリラックスしながら進めました。講堂などでの防災講演会などのあとに、興味のある生徒や先生だけで「トークセッション」を別途開催して、さらに内容を深める、という方法もあります。
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■《大学》新入生歓迎イベントに著者を招いて
1999年4月23日、神戸女学院大学(兵庫・西宮市)の新聞『K.C.Press』主催の新入生歓迎行事に、著者が招かれ講演しました。(『K.C.Press』ホームページを参照)
同紙によると、「教室にコの字型に並べられた机はより身近に感じるようにと住田アナの要望で設置され、そのため二十八人でも満員となった。金曜日の午後六時と遅い開演時間とだったが、多くの学生が参加した」
「住田アナは阪神大震災での報道体験から、感じたことを率直に参加者に語った。ひたすら報道するために走り回る自分と、ふと立ち止まったときに感じる『自分はなにを伝えたいのか』という迷い。その迷いを断ち切ってまた走るといった、当時の住田アナの気持ちを、参加者は真剣に受け止めていた。二時間近くに及んだ講演会だったが終始、会場内は静まり返っていた。『震災を伝えることの大切さを知った』『体験してないので、改めて驚かされた』などアンケートには一人一人の震災に対する思いが書き連ねてあった」と報じています。
ブックレットの著者・住田さんは、この年の春は神戸女学院大学のほか神戸大学の大学新聞の講演会にも出かけ、震災を体験していない新入生に語りかけました。
▽大学では、ブックレットのコピーを資料として配付するなどしました。大学生協や会場にブックレットを置いてもらって、興味のある学生には手にとってもらえるようにもしました。神戸大の会場には、一般市民も参加。大きいキャンパスでは、事前の告知をしっかりしないと、学生はなかなか集まってくれません(神戸大の場合参加者は、新入生から4年生までの学生や、大学職員、市民があわせて10人ほど)。しかし、あまり「本を読む」ことになじみのない学生も、震災で命を落とした同じ年頃の大学生の体験に耳を傾けてくれました。
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■《地域と高校》静岡県の防災講座で高校生とパネル討論会
静岡県東部県行政センターは、2004年2月28日土曜午後に、静岡県三島市生涯学習センターで『防災講座』を開催。
まず著者(住田)が「語り継ぎたい。命の尊さ—あの日、なにができたのか」と題して講演し、1995年1月17日に帰省先の神戸で遭った阪神淡路大震災の体験をもとに話をしました。
講演会の後は、著者と三島・田方地区の7校の高校生パネリスト7人が、防災とボランティアをテーマに『パネル討論』を行いました。
まず高校生から「毎年の防災訓練が、マンネリ」「あんな訓練に意味があるのか」という批判が飛び出しました。
東大理学部の助手だった石橋克彦さん(現・神戸大教授)が東海地震説を警告してから28年。新しく生まれてくる世代に、災害への備えを伝え続けることの難しさを思い知らされました。
著者と高校生たちとは、もっと防災訓練をおもしろくするにはどうしたらいいかを考えました。
会場の中学の先生からは、訓練のなかに、避難経路をふさいでおいたり、スモークをたいたりと、予想外の設定を組み込んでおくというアイデアが紹介されたりしました。
また、女子生徒からは「ボランティアって偽善っぽい」という趣旨の発言があり、会場の婦人から反論があるなど、本音トークとなりました。
地域防災力アップには、高校生たちの若い力が欠かせません。
今回の『講演&パネル討論』にあたっては、高校生をうまく巻き込む「しくみ」がありました。
1. 地域の各県立高校にパネリストとなる生徒を選んでもらう。
2. その生徒たちに事前にブックレット『語り継ぎたい。命の尊さ』を読んでもらう。
3. パネル討論の司会には、高校生の親世代の女性(地元ケーブルテレビアナ)に依頼。
4. 討論直前の打ち合わせで、司会者から「本音で話そうよ」と雰囲気づくり。
5. 当日は、ブックレット著者の講演を聞いて、震災を思い起こしてからパネル討論に臨む。
といったポイントです。
さらに、東部県行政センターでは、この「防災会議」の後、継続して高校生へのアプローチを展開しました。
5月には、関係9校の教頭と市町の課長による「高校と地域の防災会議」を開催。さらに、8月は高校生と自主防災組織が連携したDIG(Disaster Imagination Game=災害を想定したシミュレーションゲーム)を実施するなど、きめ細かいフォローをして、高校生に防災への関心をもってもらう努力を続けています。
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■《企業》火災予防協会の事業者自主防災講演会で
2000年1月19日、横浜市火災予防協会の防災講演会で、ブックレットの著者が講演しました。会場には、市内の工場や、オフィス、デパートなどの防災担当者が集まりました。
まず、著者の震災当日の行動、学生アパートでの火災、などの部分を朗読。ブックレットの第5章「命を救うネットワークづくり」、第7章「危機管理意識を持っておこう」から、地域の人たちが会社や工場の敷地に避難してきたらどうするか、初動で近隣の他社との協力は、家で待つ従業員の家族の心理は、などについて、いっしょに考えました。
著者は事業所の防災の専門家ではないので、的確なアドバイスをする、ということはできませんが、阪神大震災のさなかに町で出合ったいろいろな会社の事例をもとに、「うちの会社なら、その時どうする」というシミュレーションの一助にはしていただけたようです。
▽ブックレットのコピーを資料として配付するなどしました。また、主催者によっては、事前にブックレットを購入して担当者に配布してくださることもあります。こうした講演のほか、現場職員の新人研修で「緊急初動」用のテキストに採用した企業もあります。
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■《地域》主婦サークルの防災講演会に著者を招いて
神奈川県小田原市の主婦サークル『グループ・スプラッシュ』の主催するトークセッションに、これまでに数回にわたって著者が招かれ講演しています。『グループ・スプラッシュ』は、地域防災を考えようとスタートしたチームです。
ブックレットの抜粋を、著者が朗読し、「大規模災害には、消防や自衛隊がくるまでには時間がかかる。まず隣近所の人たちでなにができるかを考えましょう」というストーリーで、トークが進みました。
『グループ・スプラッシュ』は、発足が、阪神大震災の時でした。 代表の井上裕子さんは、「あの時、映像にうつしだされた大惨事、うつろな目をした人々の表情に、 『もしも、この地震が小田原で起きていたら、この姿はとりもなおさず、私たちであったのではないか……』 という思いがつきまといました。 同じ思いの仲間が集まり、私たちにできることを考えました」と話しています。
実は、このグループの最初の小さな講演会(1995年)を、ワープロでおこしたものが、このブックレットの原形になったのです。
▽主婦の講演会やトークセッションでも、ブックレットの抜き刷りレジュメを配り、いくつかの手記を朗読します。茶話会のような形式をとることもあります。「昼間、地域での防災に主婦はどうとりくめばよいの?」といった質議応答もあります。
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■《地域》『防災まちづくり講座』の企画立案の基本資料に
大阪府の豊中市は、阪神大震災で11人の方が亡くなった被災地です。
毎年1月には、震災を風化させないために市の主催で行事が行われます。
2001年1月には何かイベントをやろうということになり、『防災まちづくり講座』を受講した市民に呼びかけて、40歳台の主婦や、50から60歳台を中心にした市民20人が集まりました。
その企画段階で、スタッフの基礎資料としてみんなでこのブックレットを読みました。
「生々しい当時の体験を思い出しました」と、豊中市政策推進部防災課(現・情報政策課)の長坂國男さん。「助け合いの精神を普段から築いておくことや、日常と非日常をどう切り替えるかなど、イメージがふくらみました」といいます。
1月17日にはシンポジウムを開催し、多くの人たちが会場を訪れました。長坂さんは、「災害のときどうなるのか、と想像することが大切。町を見る目が変わったのでは」と成果を話しています。
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[ブックレットの入手法]
●副教材ブックレット『語り継ぎたい。命の尊さ〜阪神大震災ノート』は、A5判77ページの冊子(一橋出版・定価600円 税別)です。神戸、大阪、東京などの主要書店、神戸大生協書籍部に配本されています。一般書店でも注文できます。一橋出版ホームページ もご覧ください。教材用などで急いで入手したい方は、sinsai@kobe-u.comあておたずねください。
[著者とのトークセッション]
●著者の住田さんは、大学や高校のみなさんとのトークセッションなどにも参加しています。詳しくはメールsinsai@kobe-u.comでご連絡、お問い合わせください。
●このサイトは、本の編集に協力した神戸大学ニュースネット委員会がサイトを管理し、本の企画をたてた小田原市の主婦サークル「グループ・スプラッシュ」のみなさんと、本の著者の住田功一さんがサイト運営に協力しています。
●リンクについては、必要なものは相手先の許諾を得て設定しています。本サイトに掲載の手記や感想文については、すべて原作者・著者の了解をとって掲載されています。写真についても、撮影者の許可を得て掲載されています。本サイトに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
●サイト運営についてのご意見は、神戸大学ニュースネット委員会newsnet@kobe-u.comまで。
●サイトの内容についてのお問い合わせは、sinsai@kobe-u.comまで。
(C)神戸大学ニュースネット委員会
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