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きょう、震災から千日 神戸大遺族が慰霊碑に献花
震災千日目の十月十二日、神戸大六甲台学舎にある慰霊碑に、震災で亡くなった神戸大の学生の家族が集まり、献花した。【十月十二日 神戸大NEWS NET=UNN】
集まったのは、神戸大の学生の遺族のうち、八家族十人。震災千日目となる十月十二日、秋晴れのもと午前十時ごろから、六甲台学舎にある慰霊碑の前に、ぽつぽつと遺族が集まりだした。
震災で長男の純さん(当時 法・院一年)を亡くした、愛媛県在住の工藤延子さん(50)の呼びかけで来た人や、この日のことを事前に報じた新聞を読んで訪れた人達で、四国や、三重、大阪、地元神戸からやってきた人もいた。夫婦が二組、母親が四人、故人の姉ら、女性の姿がめだった。
きっかけは、工藤さんが毎月十七日に発行しているミニコミ紙。交流している家族の便りをつづった『THE 17TH』の紙面で、「震災千日目という区切りに集まりませんか」と呼びかけた。
公認会計士の試験に合格しながらも亡くなった藤原信宏さん(当時経営・四年)の父の藤原宏美さんは「自分は年をとるんですけど、仏壇の写真は年をとらないんですよ。神戸大学に入学させたこと自体が親の責任だったのではないかと思います」と語る。
愛猫と寄り添うように亡くなった廣瀬由香さん(当時 法・四年)の母の廣瀬政子さん(48)も「時が経つにつれて人にとっては、他人ごとになるんですよ。それはしょうがないことだとは分かってるんですが、やっぱり人に対してやさしい気持ちになれないときがあります」と辛さを語った。弟の櫻井英二さん(当時法・四年)を亡くした都築和子さん(33)は「弟に似た人がいると振り返って、相手にけげんな顔をされることがありますね。どこかでひきずっているのかも知れないんです。時が経つにつれ、気持ちが深くなっています」と語る。
慰霊碑の前では、それぞれの思いを語り合ったり、近況を報告したりする人達や、プレートに刻まれたわが子の名前を何度もなでる家族の姿が見られた。
この日は、計画を事前に新聞報道で知ったという副学長の神木哲男教授が家族たちを出迎えた。「震災直後、家族のみなさんに安否を確かめる作業に追われたことを思い出します。学生達は次々に卒業していきますが、大学としても風化させてはいけないと思います」と話す。
呼びかけた工藤さんは「お手紙などをいただけない方ともお話しができてよかったです。直接会って話すと心に伝わってきます」と語った。
家族らは、このあと、それぞれ下宿跡を訪ねたりして、神戸の地をあとにした。
了