◎猛暑の怪演、客を引き込む 自由劇場が本公演

 演劇部自由劇場の本公演『こどもの一生』(原作=中島らも、脚色=桝野幸宏、演出=藤吉慧美子)が12日、シアター300(鶴甲第1キャンパス)で千秋楽を迎えた。蒸し暑い会場にも関わらず約200人が来場。精神病院を舞台に繰り広げられるホラーコメディに見入っていた。

 『こどもの一生』は1990年に初演された、戯曲家・中島らもの傑作。登場するのは、瀬戸内海の孤島にある臨床心理治療所で、薬と催眠術によって子ども返りする治療を受けているストレス障害の患者たちだ。物語は、患者たちが1人を仲間外れにしようと始めた「遊び」が、恐ろしい結果をもたらしていく様を描く。

 出演者は個性的なキャラクターを怪演。コミカルな場面を織り交ぜながらも観客を戦慄(せんりつ)の世界へ導いていた。さらに、プロジェクションマッピングや煙などの演出が、物語の不気味さを引き立たせる。演出の藤吉慧美子(えみこ)さん(神戸松陰女子学院大・3年)は、「110分間の劇の中で約90分はストーリーが進まない。お客さんを飽きさせないように笑いをとったり、音や光を使った演出を入れたりした」と話す。

 真夏日となったこの日、満員の会場は冷房設備が無く室温が上昇。しかし観客は、配られた冷却ジェルシートを額に貼ってうちわをあおぎながら、熱演に集中していた。大阪から来た中学1年の女子生徒は「中学の演劇部の先輩から薦められて来た。山田のおじさん(登場人物の1人)の迫力がすごかった」と公演を振り返った。

社長秘書・柿沼役を演じた主演の成田開さん(写真左、撮影=瀧本善斗)

社長秘書・柿沼役を演じた主演の成田開さん(写真左、撮影=瀧本善斗)

 主演の成田開さん(国文・3年)が演じたのは社長秘書・柿沼役。社長の腰巾着としてのひ弱な性格から、危機を前にして自分の意志で行動する場面まで、幅広い心情を演じきった。成田さんは「1人の人間なので、社長に対して何を思っているかはぶれない。でも自分の意識しないところで物事が動いてしまう子どもの怖さを演じるのも重要。大人から子どもへの変化はメリハリをつけるようにした」と、汗だくになりながら語った。

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