「震災の記憶を伝え続ける」 武田学長の<追悼の言葉>全文

 1月17日に六甲台第1キャンパスにある慰霊碑前で行われた献花式は、参加者全員での黙祷に続き、武田廣学長が約3分間の「追悼の言葉」を述べた学長の声はマイクを通して慰霊碑前に響き、献花式に訪れた遺族、学生、教職員など約250人が聞き入った。<小野花菜子>


(写真:追悼の言葉を読む武田廣学長。2020年1月17日12時30分ごろ、六甲台第1キャンパスの慰霊碑前で)

 武田学長はまず阪神・淡路大震災で神戸大では教職員2名、学生39名の命が失われた事について追悼の言葉を述べた。また神戸大が被災大学としての自覚を持ち、これまで災害科学研究を推進し震災復興災害活動を継続的に行ってきたことについて触れ、今後に向けて次世代を担う学生達に震災の記憶を伝え続けるという意思を明らかにした。

《追悼の言葉 全文》

追悼の言葉

兵庫県南部地方を襲った地震により神戸大学においては教職員2名、学生39名にも及びかけがえのない多数の尊い命が奪われました。

思えば、去る平成7年1月17日午前5時46分のあの一瞬の出来事により、若き有意な命が志半ばにして亡くなられたことは、ご遺族はもとより我々大学関係者にとって残念でなりません。

今、あの大震災から25年の年月が経過しようとしています。大震災後に生まれた学生が大部分を占めるようになり、時間の経過とともに記憶の風化を止めることは難しくなっていることは否めません。しかしながら多くの犠牲者を出した被災大学として次世代を担う学生達に震災の記憶を伝える努力を続けていきたいと思っております。

あの大震災の後も、日本列島を度々大地震が襲いましたが、被災大学としての経験を生かし、災害科学研究を推進するとともに、震災復興支援活動を継続的に行ってまいりました。大学主導でこの様な研究や活動に力を注いできたのは勿論ですが、自発的に学生がサークル単位、あるいは個人単位で被災地へ出向き、ボランティア活動を積極的に行う姿も数多く見受けられるようになりました。また、この様な活動に加えて、大震災についてほとんど知らないことに危機感を覚えた学生が、同世代に伝えなければという使命感を抱いて情報発信をしていることは心強く思います。

今回、25年という節目の年に、この地に建立された慰霊碑に込められた精神を、そして銘板に刻まれた「友よ 神戸大学を そして世界を見続けてほしい」という言葉に込められた思いを、改めて心に留め、今後も教職員、学生にしっかりと語り継いでいきたいと考えております。

結びに犠牲となられました41名の方々のご冥福をお祈りしつつ、ご遺族の皆様のご健勝を祈念いたしまして追悼の言葉といたします。

神戸大学長 武田廣

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