台風７号の影響で、床上浸水するなどの被害を受けた学生会館。復旧作業が行われ、１０月８日時点では、集会室のうち２部屋を除いて使用可能。学生会館の被害によって、複数の課外活動団体が練習場所の変更を余儀なくされ、予期せぬ出費が痛手となる団体もあったが、大学から浸水被害による補償はない。被害を事前に防ぐことはできなかったのか。＜ニュースネット取材班＞

被害から約２か月経過　２部屋未だ使えず
　８月１５日に兵庫県に上陸した台風７号の影響で、神戸大学鶴甲第１キャンパスの学生会館が浸水被害を受けた。学生支援課によると、学生会館のテラスに溜まった雨水が廊下及び天井に入ったと思われ、３階と４階が床上浸水の状態となった。集会室の一部は復旧が完了し、使用可能になったが、１０月８日時点で、第１集会室、第４集会室は依然として使用許可が出ていない。

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葉が詰まった排水管　清掃に不備か
　ある職員によると、台風７号が兵庫県に上陸したのはお盆休み期間だったため、大学に人があまりいなかった。「８月１４日の夜に雨がすごく降った。３階と４階のベランダがプールみたいになり、排水管が葉っぱで詰まった。溜まった水が内側に入って、３、４階の床が水浸しになった。そこから下の階に水が漏れた。特に集会室は天井が崩れて落ちたり、電気が使えなくなったりした。３階の水は主に談話室の方に天井から落ちて、天井にある火災報知器が濡れ、発報し、誰もいない夜中にセコムがきた」。職員は、８月１７日に出勤してきた際に浸水している事態に気づき、学校に報告した。

（写真：浸水被害を受けた学生会館。2023年8月17日撮影）　

　２０２２年度の文化総部長は、「コロナ制限緩和に伴い、改善するタイミングを上手く見つけることが出来ないまま今まできてしまったのではないか」とコメントしている。

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大学の防災対策　水害想定せず
　学生支援課によると、大学における組織的な防災対策は主には地震、火事を想定しており、豪雨・内水氾濫等の水害被害については、通常想定していない。
　学生会館の日常的な利用や軽度の雨漏り等の修繕対応は学生支援課が対応し、大規模かつ広範囲の被害が生じるようなものは、防火管理者（神戸大では総務部長）が主導して復旧等を行っている。

　また、学生会館の清掃は外部業者に委託されている。しかし学内のある職員は、ニュースネットの取材に対し、「排水溝も掃除の必須項目に入っているはずだが、ここ２、３年はちゃんと掃除されていない。結局今回のようなことが起きてしまって、修繕に何百万と掛かる羽目になってしまうから、勿体無い」と、被害を事前に防ぐことができた可能性に言及した。
　一方、学生支援課は「以前、清掃の改善を求める要請を出したことはあるが、今回の豪雨に際しては事前に排水溝が詰まりかけているといった事実は確認できず、想定外の規模および連休期間中だったこともあり、特段の改善要請はしていない」とした。

（写真：学生会館の廊下。2023年10月5日撮影）

予算に困窮する大学　災害被害を防ぐには
　今回の浸水を受けて、学生会館を利用していた課外活動団体の多くは、活動場所の変更を余儀なくされた。練習場所がなくなり予想外の出費が痛手になった団体もあったが、学生支援課は、今回の浸水による活動制限に関して、課外団体に補償を行わない。

　課外活動施設の修繕費用がかさみ、課外活動のための予算確保に困窮しているという神戸大学。学生会館については、水道管の錆による水の濁り、違法建築状態のプレハブ倉庫、古くなったエアコンなど、浸水対策以外にも不備が散見される。文化総部が設備改善を要望しているが、学生支援課は、老朽化した建物自体の建て替えが優先で、金銭的・日程的な余裕がないと回答。また、昨年度に続き、本来は大学からの課外活動団体の助成費として充てられる費用も、課外活動施設緊急修繕費用として運用している。

▽課外活動団体助成の申請について／神戸大学サイト
＝課外活動団体助成 | 国立大学法人 神戸大学 (Kobe University) (kobe-u.ac.jp)

　キャンパス内には、老朽化した施設や設備がある。課外活動団体のために使う予算がないなか、さらに修繕費用を要することになった学生会館の浸水被害。補修工事も行われていたが、予期せぬ災害の規模とタイミングが原因で、浸水被害を受けてしまったと学生支援課は主張する。
　災害はいつ発生するかわからない。大学が適切に管理を行い、事前に災害による被害を防ぐ方法はなかったのか。

了