総合学習『命の大切さ、考えよう』のとりくみ
地震防災をテーマにした神奈川県立西湘高校の《調べ学習》
5)
文化祭やホームページで“発表する”
(担当=新聞委員会の顧問教諭:諸井暁之・石塚弦一郎・立花ますみ)
9月9日、10日は、神奈川県立西湘(せいしょう)高校の文化祭。
8月上旬からの準備で、今回は、あくまで中間報告ということですが、生徒たちはこの一週間、毎日夜まで残って準備したかいあって、なかなかの仕上がりでした。
鉄筋校舎3階の教室の前の廊下には、11枚の模造紙に、びっしりカラフルなイラストや見出し。テーマは、「防災マニュアルのウソ、ホント」です。教室の中にも模造紙発表と、ビデオの上映、非常食をたべてみようのコーナーをつくりました。
【模造紙発表コーナー 「防災マニュアルのウソ、ホント」】
・「地震だすぐに火を消せ」はもう古い。
冬の地震でストーブの火をあわててけそうとした人がやけどをしたりして、
すぐに火を消そうとするのは危険な場合がある。とかねてから指摘されていましたが、
阪神大震災で、東京消防庁などでもマニュアルを切り替え、
「地震発生。まず、身の安全を守る」「揺れが落ち着いたら、火を消そう」となりました。
でも、1995年にオープンした東京消防庁「本所防災館」に高校生たちが見学に行ったときに見た映画では、
まだ「地震だすぐに火を消せ」という内容でした。
・ヘルメットと、防災頭巾はどちらが有効か。
防災頭巾は、うなじをかくす「しころ」が付いているので、
火事のときに火の粉がかからず、首も守れる。
でも、ヘルメットは、クッション構造になっていて、落下物には強い。
ヘルメットをかぶり、タオルを首に巻くと、防災頭巾よりgoodということがわかった。
【防災ビデオの上映コーナー】
神奈川県防災センターには、阪神大震災など、さまざまな災害のニュース映像をもとに
防災の重要性を呼びかけるビデオがライブラリーにたくさんあります。
そのうちの数巻を借りてきて、教室で上映しました。
【非常食たべてみようコーナー】
・非常食の乾パンは、たべてみるとパサパサで食べにくい。
スープなどがあると、大変おいしく食べられるけど、
単体では、お年寄りなどはちょっと食べにくい。
水の供給がストップした状況だと、口の中に貼りついてたべづらい非常食です。
・水でもどす「餅」は、水にしばらくつけるだけでふやけてくる。すると、もちもちした食感に。
しょうゆの粉末をかけて海苔をまいて食べると、それはそれは美味な「あべかわ餅」でした。
・自衛隊の非常食には、「赤飯の缶詰」がありました。ボリュームたっぷりで、腹もちも十分。
でも、「災害現場で赤飯はたべにくい」と、高校生たちが取材した自衛官は話していました。
文化祭のあと、高校新聞に掲載するため、編集作業を進めています。また、ホームページにも公開するため、現在準備作業中です。
ここまでの学習では、マニュアルの項目ごとに、さらに網羅的に整理ができないか。全校生徒に、活動がフィードバックされているだろうか。もっと神戸などの被災した人たちに直接話をきけないただろうか。という点が課題として残っています。
《ヒント》
「調べ学習」を完結させ、生徒たちに達成感をもたせるには、発表の場を持つことが大切です。ただ、一気にまとめあげるのは、大変なので、今回のように、「文化祭で中間発表」、「校内新聞で概略を発表」、「ホームページで詳報を発表」というステップを設けると、達成しやすくなりますし、途中から希望者が合流することもできます。
●高校新聞では、取材の途中経過を両面見開きで特集「阪神大震災から6年---地震に対する防災を考える」として掲載しました。それが、
『西湘時報』(第96号 2000年12月22日発行)
です。クリックしてご覧ください。(2001年1月17日 アップ)
●そして、いよいよ、生徒たちの取材の成果をホームページにまとめて、発表しました!!
それが、
総合学習『もいちどチェックだ! 防災マニュアル』
です。
ぜひ、こちらもクリックしてご覧ください。(2001年1月17日 アップ)
総合学習『命の大切さ、考えよう』のステップ
0)
地域のテーマから〜最初のちょっとしたきっかけ
1)
簡単な資料を“読む”
2)
感想文を“書く”
3)
体験談を“聞く”
4)
関係者や現場を“調べる”
5)
文化祭、ホームページ、校内新聞で“発表する”
6)
まとめ
・
総合学習『もいちどチェックだ! 防災マニュアル』
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・
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※クリックして、それぞれのステップをごらんください。
●制作 2000年11月30日
神奈川県立西湘高等学校
小田原市 主婦サークル「グループ・スプラッシュ」
神戸大学ニュースネット委員会
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